10日、屋根が崩壊したフロリダ州タンパベイの野球場「トロピカーナフィールド」=AP

【ヒューストン=花房良祐】米南部フロリダ州に9日夜上陸した大型ハリケーン「ミルトン」に関連し、同州では少なくとも6人が死亡し、停電件数も300万件に上った。メジャー球団レイズが本拠地とするドーム球場の屋根は吹き飛んだ。米国政府と地元当局は地域の復旧に向けた支援を急いでいる。

ミルトンはフロリダ州の西部に9日夜に上陸し、半島を横断して10日未明に大西洋へ抜けた。一部地域では竜巻も発生した。一夜明けて被害が徐々に明らかになっている。

フロリダ州タンパベイを拠点とするメジャー球団レイズのホームスタジアム「トロピカーナフィールド」は屋根が崩壊した。死傷者はいないという。球団は「被害を精査している」との声明を出した。

外野フィールドに救助隊員らが寝泊まりできるよう約1万人分の簡易ベッドを敷き詰めていたが、屋根が破壊された瞬間はほとんど人がいなかったようだ。米メディアによると、屋根の素材は柔らかい特殊なガラス繊維で時速185キロメートルの風速に堪えられる設計だった。

10日、大型ハリケーン「ミルトン」の被害を受けた米南部フロリダ州の住宅街=AP

フロリダ州西部の上陸地周辺では150〜180センチメートルの高潮が発生した。同地域では22年のハリケーン以来の高水準という。

多数の住宅・商業施設が被害を受けている。アトランタ連銀幹部はこの時期、フロリダ州にハリケーンが相次ぎ襲来したことで地元経済への打撃が6カ月以上にわたり続くとの見方を示した。フロリダ州当局は保険会社による不払いを防止するために被保険者を保護すると表明した。

今回のミルトンの到来を巡っては、米国政府や地元当局が事前に避難を強く呼びかけていた。死者200人以上が発生した9月末の大型ハリケーン「ヘリーン」ほどは死傷者が発生していないようだ。

今年は米国に5つのハリケーンが上陸。6月に始まるハリケーンの季節が終わるのは11月で、ハリケーンの到来が多い米国南部の住民は気が抜けない時期が続く。

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