【NQNニューヨーク=矢内純一】9日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸した。前日比431ドル63セント高の4万2512ドル00セント(速報値)で終え、最高値を更新した。米景気の先行きに対する警戒が薄れており、幅広い銘柄に買いが入った。原油先物相場の上昇一服も追い風となり、ダウ平均は次第に上げ幅を広げた。
前週末発表の9月の米雇用統計が市場予想を上回る内容となり、米景気が底堅く推移するとの観測が根強い。米経済の軟着陸(ソフトランディング)期待からハネウェル・インターナショナルやキャタピラーといった景気敏感株が上昇した。市場では、「米国株の先高観が意識され、買い遅れないように投資家が持ち高を増やしている」(インタラクティブ・ブローカーズのホセ・トーレス氏)との指摘があった。
9日の米原油先物相場は続落した。中東情勢の深刻化に伴う市場心理の悪化やインフレ圧力の高まりへの懸念がやや薄れ、株式相場を押し上げた。米連邦準備理事会(FRB)は9日午後、9月17〜18日に開いた米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨を公表した。同会合では0.5%の利下げを決めたが、数人の参加者が0.25%の利下げが望ましいとの考えを示していたことがわかった。ただ、議事要旨の公表後に株式相場に目立った反応はみられなかった。
他のダウ平均の構成銘柄では、IBMやナイキが上昇した。ゴールドマン・サックスも高かった。半面、ボーイングの下げが目立った。従業員のストライキの長期化に加え、債務格付けの引き下げ懸念が重荷となった。セールスフォースも売られた。
ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は続伸し、前日比108.701ポイント高の1万8291.617(速報値)で終えた。ネットフリックスなどに買いが入った。半面、アルファベットが下落した。傘下のグーグルの検索サービスの独占を解消するために、米司法省が8日に会社分割などを含めた措置の枠組み案を連邦裁判所に提出したことが売りを誘った。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数は続伸し、最高値を更新した。
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