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緊迫続く イスラエルの出方が焦点
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レバノン イスラエル軍の攻撃激化 路上で避難生活する市民も
緊迫続く イスラエルの出方が焦点
イランが後ろ盾となっているレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラの最高指導者が殺害されたことなどへの報復としてイランが今月1日、イスラエルに大規模なミサイル攻撃を行ったことを受けイスラエルは、対抗措置をとる構えです。
イスラエル側が対抗措置に踏み切れば、さらなる攻撃の応酬となりかねないだけにイスラエルの出方が焦点になっています。
一方、イスラエル軍は、レバノンでヒズボラへの攻勢も強め、首都ベイルートなどへの空爆を連日、行っているほか、地上侵攻に踏み切った南部でも、ヒズボラとの戦闘が激化しているとみられます。
イスラエル軍は4日、ヒズボラがロケット弾など、およそ100発をイスラエル領内に向けて発射したとする一方、これまでにヒズボラの拠点や武器庫など2000以上の標的に攻撃を行い戦闘員およそ250人を殺害したなどと主張しました。
ヒズボラもイスラエル側に砲撃などを行い、複数の死傷者が出ているとしています。
情勢が悪化する中、レバノンでは120万人近くが避難を強いられていますが、国連は4日、レバノン政府が用意したおよそ900か所ある避難所のほとんどで住民を受け入れられなくなっていると明らかにしました。
レバノン イスラエル軍の攻撃激化 路上で避難生活する市民も
イスラエル軍による激しい攻撃がレバノン各地で続く中、多くの市民が避難を余儀なくされていて、レバノン政府は公立学校などおよそ900か所を避難所として開放して、対応にあたっています。
ただ、攻撃が激化するにつれて首都ベイルートにも安全な場所を求めて多くの市民が押し寄せていて、避難所に入れない人が続出し、路上での避難生活を強いられています。
観光名所としても知られるベイルート中心部の広場や、地中海に面する海岸沿いの通りには、避難所に入れなかった多くの人々がテントを張ったり、路上で洗濯をしたりする姿もみられました。
ベイルート郊外から子どもたちと避難してきた女性は「避難して数日は路上で寝泊まりした。いまは廃虚となったホテルで暮らしている。子どもたちも家を追われているのに、私たちは見捨てられている」と話していました。
また、2人の子どもと路上での避難生活を余儀なくされている男性は「戦闘のせいで多くの人が家を追われ、生活ができなくなっている。私たちは平和に暮らしたいだけだ。早く戦闘が終わってほしい」と話していました。
さらに攻撃によって物流にも影響が出ていて、ベイルート市内の食料品店では日用品や食品の一部が品薄になっているほか、パン屋では小麦の入荷が追いつかず、空になっているたなも目立っていて、レバノン市民を取り巻く状況は日増しに厳しくなっています。
バイデン大統領 “イスラエル イラン対抗措置すぐ決定しない”
アメリカのバイデン大統領は4日、ホワイトハウスで記者会見を開きました。
この中で、イスラエルによるイランへの対抗措置について「イスラエルはどのような攻撃をするのかまだ結論を出していない。協議中だ。すぐには決定しないだろう」と述べ、攻撃方法などをめぐりイスラエル側で検討が続いているという認識を示しました。
また、イスラエルがイランの石油生産施設を攻撃する可能性について記者から問われると「私が彼らの立場であれば、別の方法を考えるだろう」と述べ、イスラエルに対して自制を求めました。
バイデン大統領は前日の3日に、記者団から「イランの石油生産施設を攻撃することを支持するか」と問われたのに対して「われわれは協議中だ」と述べ、原油市場では、石油生産施設が攻撃対象となる可能性が否定できないとの受け止めが広がり、原油の先物価格が上昇しました。
アメリカでは、大統領選挙まで残り1か月となり民主党のバイデン政権としては、ガソリン価格の高騰を招き、有権者から批判を浴びる事態は避けたい考えで、中東情勢の行方は選挙戦にも影響を与えそうです。
緊迫化への懸念 原油価格が一時1バレル=75ドル台半ばまで上昇
イランが行った大規模なミサイル攻撃に対してイスラエルがどのような対抗措置をとるかが焦点となる中、4日のニューヨーク原油市場では、中東情勢が一段と緊迫化することへの懸念から国際的な原油の先物価格が一時、1バレル=75ドル台半ばまで上昇しました。
投資家の間では、イスラエルによるイランへの対抗措置が焦点となっていますが、レバノン南部でイスラエルと、イランの支援を受けるヒズボラとの間で戦闘が激化していると伝わったことで中東情勢が一段と緊迫化することへの懸念が高まりました。
このため、4日のニューヨーク原油市場では、国際的な原油取り引きの指標となるWTIの先物価格が一時、1バレル=75ドル台半ばまで上昇しました。
これは、およそ1か月ぶりの高値水準です。
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