30日、ハリケーンの被害を受けた道路と住宅(米南部ノースカロライナ州)=ロイター

【ヒューストン=花房良祐】米南部に26日上陸したハリケーン「へリーン」を巡り、米メディアは30日、死者が少なくとも120人に上ったと報じた。インフラや農業といった産業で被害が広がり、経済的な損失は1600億ドル(約23兆円)に上るとの推計もある。激戦州のジョージア州やノースカロライナ州も被害を受けており、11月の大統領選に影響する可能性もある。

気候変動で米国に上陸するハリケーンは大型化しやすくなっている。へリーンは26日深夜に5段階で2番目に強い「カテゴリー4」の大型ハリケーンとしてフロリダ東部に上陸。米研究者によると、メキシコ湾のハリケーンとしては1988年以降で4番目に大きいという。

上陸後は北上してバージニア州へ向かい、各地で洪水や倒木、暴風雨に伴う交通事故で多数の死者・行方不明者が発生した。バイデン政権が議会に災害対応の追加資金を求める可能性もある。

死者数はフロリダ州からバージニア州など6州にまたがり120人超と報じられた。被害が特に大きいノースカロライナ州では少なくとも35人が死亡した。

同州当局者は29日までの行方不明者の報告は600人以上と述べた。救助活動が続いており、クーパー知事は死者数が増加するとの見通しを示した。

ハリケーンを受けて流木などであふれる米南部ノースカロライナ州の湖=ロイター

地元当局は同州西部の全ての主要道路が閉鎖されていると表明した。同州西部の避難所には1000人以上が身を寄せている。

同州西部アシュビルは甚大な打撃を受け、多数の住宅が破壊された。断水が続き、水道の修復には数週間かかる可能性もある。

経済も影響を受けている。ジョージア州では綿花畑や鶏肉施設、ナッツ、木材といった産業が被害を受けた。同州だけで18年に直撃したハリケーンの農業被害額25億ドルを上回るとの見方もある。

気象情報サイトのアキュウェザーは経済損失額が1600億ドルに上るとの推計を伝えた。30日午後時点で南部・東部の各州の停電件数は約200万件に上る。

バイデン大統領はジョージア州やノースカロライナ州の各州知事と電話で話した。数日内の被災地訪問を検討する。

トランプ前大統領は30日、ジョージア州を訪問した。トランプ氏はX(旧ツイッター)で「バイデンは(地元の)デラウェア州で寝ている」などと投稿。政権の災害対応を非難した。

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