ディレクTVとディッシュ・ネットワークの合併完了後、登録者数が米国最大のテレビ会社となる=ロイター

【ニューヨーク=吉田圭織】米AT&T傘下の衛星放送会社ディレクTVは30日、競合の米衛星放送企業ディッシュ・ネットワークとの合併を発表した。合併が完了したらケーブルテレビも含めて登録者数が米国最大の有料テレビ会社となる。

ディレクTVはディッシュの親会社のエコースターからディッシュ全株式を1ドルで買収する代わりに、97億ドル超(約1兆4000億円)の債務を継承する。買収は両社の取締役が容認しており、2025年の10〜12月期に完了する見通しだ。

ディレクTVはAT&Tと米投資ファンドのTPGが共同所有している。TPGはディレクTV株30%保有している。今回の合意に伴いAT&Tから残りの70%を買い取る見通しで、TPGが合併後の有料テレビ会社を保有する。TPGによる買収額は約76億ドルという。

ディレクTVとエコースターが30日に出した発表資料では「動画配信業界は大きな変化を遂げ、ストリーミング・サービスが独占するようになった。非常に競争の激しい業界となっている」と合併の必要性を強調した。

両社によれば、ディレクTVとディッシュ社を合わせた衛星放送の顧客数をみると、16年と比較して顧客の63%を失ったという。ストリーミング・サービスに顧客が流れ、いまではケーブルテレビを含めた有料テレビサービス全体の米全世帯に占める普及率は50%を下回ったという。米ライヒトマン・リサーチ・グループによれば、ピークの10年の普及率は90%近くだった。

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