総選挙後の「政治空白」が続いていたフランスで、新内閣がようやく発足することになった。仏大統領府が21日夜、閣僚名簿を発表した。マクロン大統領率いる与党連合とバルニエ首相(73)の所属する中道右派の共和党のメンバーを中心に起用し、右派色の強い顔ぶれが目立つ。

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 フランスでは大統領が、首相の提案に基づいて閣僚を任命する。バルニエ氏は5日にマクロン氏から新首相に任命された後、組閣人事を終えるまでに16日間かかった。仏メディアによると、1958年に始まった第5共和制史上、最も長い日数を要した。

 フランスでは7月の国民議会(下院)選挙で、マクロン氏の与党連合が第2勢力に転落。下院は左派の政党連合「新人民戦線(NFP)」と、極右の流れをくむ右翼「国民連合(RN)」による三つどもえの分裂状態になっている。

 マクロン氏は政権運営の長期的な安定を目指して、バルニエ氏にRNを除く幅広い勢力が参加する閣僚人事を求めていた。しかし、主要閣僚ポストの多くは与党連合と共和党が占め、左派からの閣僚起用は1人にとどまった。

 下院で最大勢力となったNFPは、第4勢力でしかない共和党のバルニエ氏が首相を務めることに反発しており、10月1日に開会する下院で内閣不信任案を提出する考えを示している。政党単位で下院最大の議席を持つRNが同調すれば、新内閣は総辞職に追い込まれる。

 バルニエ氏は今回の組閣で、移民問題や治安を担当する内相に、共和党の中でも移民に最も厳しいルタイヨ氏を起用。閣僚人事を通して、移民の受け入れ規制や治安対策の強化に向けた姿勢を見せることで、安定した政権運営への協力をRNに求めた形だ。

 一方、新内閣の命運を事実上左右する立場にあるRNは、バルニエ氏への圧力を強めている。RNのバルデラ党首は21日、X(旧ツイッター)で「この政府は国民の熱望を反映していない。マクロン政治は終わりを迎えている」と批判した。(パリ=宋光祐)

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