通信機器が一斉に爆発 国連安保理緊急会合
中東のレバノンでは、17日から2日連続でトランシーバーなどの通信機器が一斉に爆発し、あわせて37人が死亡、およそ3000人がけがをしました。
これを受けて国連の安保理では20日、緊急会合が開かれ、出席したレバノンのハビブ外相は、イスラエルによる無差別な攻撃だとした上で、「イスラエルはこのテロ攻撃によって軍人と民間人を区別するという国際人道法の原則に違反した」と非難しました。
ただ、「レバノン政府は報復は望まない」と述べ、外交的解決を訴えました。
これに対しイスラエルのダノン国連大使は、問題はレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラで、「国のなかに国をつくっている」と指摘したうえで、レバノン政府に対し2006年の安保理決議に従ってイスラエルとの国境付近からヒズボラの部隊を引き揚げさせるよう求めました。
そして、「もし外交的な努力によってヒズボラがリタニ川より北に後退しなければ、イスラエルは国民を守るためにあらゆる手段を尽くすほかに選択肢はない」とも述べ、レバノン政府とヒズボラに圧力をかけました。
イスラエル軍 ベイルート空爆 ヒズボラの幹部を殺害
イスラエル軍は20日、隣国レバノンの首都ベイルートに空爆を行い、イスラム教シーア派組織ヒズボラの幹部を殺害したと発表しました。
レバノンで通信機器が一斉に爆発し、ヒズボラがイスラエルに報復する構えを示す中、攻撃の応酬の激化で紛争が拡大することへの懸念が広がっています。
中東のレバノンでは17日から2日連続で通信機器が一斉に爆発し、あわせて37人が死亡、およそ3000人がけがをしました。
レバノンを拠点とするヒズボラは、イスラエルによる犯行だとして、最高指導者は報復を行う考えを強調しています。
こうした中、イスラエル軍は20日、レバノンの首都ベイルートの郊外に空爆を行い、ヒズボラの幹部の司令官を殺害したと発表しました。空爆があったのは住宅街で、レバノンの保健省はこれまでに12人が死亡し、66人がけがをしたと発表していて、地元のメディアは、死者に子どもも含まれていると伝えています。
一方、ヒズボラも20日、イスラエルに攻撃を繰り返していて、イスラエルメディアはレバノンから150発のロケット弾が飛来し、建物などに被害が出ていると伝えています。
通信機器の連続爆発でヒズボラがイスラエルに報復する構えを示し、イスラエル側もヒズボラをけん制する発言を繰り返していて、攻撃の応酬の激化で紛争が拡大することへの懸念が広がっています。
イスラエル国連大使 “報いを受けさせた”
イスラエル軍によるベイルートへの空爆について、イスラエルのダノン国連大使は20日、記者団に対し、殺害されたヒズボラの幹部は、1983年にベイルートでアメリカ大使館が爆破された事件に関わっていた人物だったとしたうえで、「イスラエルは彼にふさわしい報いを受けさせた」と述べました。
また、レバノン国内での一連の通信機器の爆発について記者団に問われると「特定のことにはコメントしないが、言えることは、われわれはテロリストを狙うためあらゆる事をやるということだ」と述べ、けん制しました。
米バイデン大統領 停戦協議 働きかけ続ける考え強調
イスラエル軍によるベイルートへの空爆に関連して、アメリカのバイデン大統領は20日、イスラエルとイスラム組織ハマスによる停戦協議で合意を目指すことはこの状況でも現実的なのかと記者団から問われたのに対し「多くのことは、やり遂げるまでは現実的には思えないものだ。私たちは取り組み続けなければならない」と答え、合意に向けた働きかけを続ける考えを強調しました。
これに先立ちホワイトハウスのカービー大統領補佐官は、ベイルートへの空爆についてイスラエル側から事前通告はあったのかと質問されたのに対し「事前通告について承知していない」と述べました。
その上で「外交が機能する余地はまだあると考えていて、これからも努力を続けるつもりだ。われわれは状況がエスカレートすることを望んでいない」と述べ、イスラエルとヒズボラの双方に自制を求めました。
レバノン国営通信 “日本とハンガリーに事件への捜査協力要請”
レバノンの国営通信は多数の人が死傷した、通信機器を使った爆発事件をめぐり、ミカティ首相が20日、通信機器の製造元として伝えられた日本とハンガリーの大使とそれぞれ会談し、事件への捜査に技術的な協力を行うよう求めたと伝えました。
ロイター通信などは17日の爆発に使われた「ポケットベル」タイプの通信機器について台湾やハンガリーで製造された可能性を報じたほか、18日の爆発で使われたトランシーバーについては大阪市に本社がある通信機器メーカーが製造した可能性を伝えていました。
これについてレバノンの日本大使館はNHKの取材に対し、「20日午前、大使が首相と会ったことは事実だが、詳細を明らかにすることはできない」としています。
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