【ワシントン=芦塚智子】11月の米大統領選で、激戦州の一つである南部ジョージア州の選挙管理委員会が20日、各郡に票数を手作業で確認するよう義務付ける新規則を決めた。結果確定が大幅に遅れる恐れがある。2020年の大統領選で大規模な不正があったと主張するトランプ前大統領派の選管委員が新規則の導入を強行した。
新規則は、投票日の夜または翌日に各郡の投票所の責任者が手作業で総投票数を数え、投票機の記録と照らし合わせることを義務付ける。数が合わない場合は郡選管に報告しなくてはならない。各候補の得票数の確認は求めていない。
同州の選管は5人で構成し、新規則にはトランプ派とされる共和党の3人が賛成、中立の委員長と民主党委員1人が反対した。
共和の委員は選挙の安全と透明性のために必要な措置だと主張。反対派は、手集計は機械による集計よりも間違いが起きやすいうえ、時間と費用がかかりすぎると訴えている。郡の人口によっては集計に数週間以上かかる可能性があると指摘されている。
米メディアによると、同州のカー司法長官(共和)は郡レベルでの票の手集計は州法違反との見方を示した。訴訟が起きるのは必至とみられる。
同州選管は8月にも、郡の選管委員が選挙結果を認定する前に「合理的な照会」をし、投票数と有権者数の不一致などを調査できる権限を与える新規則を決めた。この時も共和委員3人の賛成で押し切った。
民主は、この新規則が郡選管に選挙結果の認定を義務付けた州法に違反しているとして、無効化を求めて提訴した。新規則の目的は選挙結果認定の拒否や引き延ばしで、トランプ氏が敗北した場合に選挙結果を覆そうとする企ての一環だと主張している。
共和の大統領候補であるトランプ氏は8月初め、同州で開いた集会で共和の同州選管委員3人の名前を呼んで紹介し「彼らは公正、透明性、勝利のために闘う闘犬だ」と称賛した。大統領候補が「事務方」の選管委員個人に言及するのは異例だ。
民主側は、トランプ氏が大統領選で敗北した場合に結果を操作する目的で州や郡の選管への影響力浸透を試みていると警戒している。
トランプ氏は20年の大統領選で敗北したジョージア州の選挙結果を覆そうとした罪で起訴されている。
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