福島第一原発にたまる処理水の海洋放出の開始以降、中国が日本産水産物の輸入停止措置を続けていることから、岸田総理大臣は、IAEA=国際原子力機関のグロッシ事務局長と、20日午後3時すぎから電話で会談し、今後の対応を協議しました。

会談のあと岸田総理大臣は、記者団の取材に応じ、IAEAの枠組みのもとで行っている処理水のモニタリングを拡充し、中国を含む参加国の専門家による水のサンプリング採取や分析機関の間での比較などを追加的に実施していくことで一致したと説明しました。

その上で「関連して中国との間でも事務レベルで協議してきており、きょうまでに一定の認識を共有するに至った」と述べ、追加的なモニタリングの実施を踏まえ、中国が自国の食品に関わる安全基準に合致した日本産水産物の輸入を再開させることで日中両国間が合意したことを明らかにしました。

そして輸入の具体的な再開時期について「具体的にいつまでにとは明らかになっていないが、輸入が着実に回復されるものであると理解している」と述べました。

また中国がどのような安全基準で対応するのかについて「既存の食品安全性や品質にかかる基準を指すものと思うが、特定の国に差別的なものでない旨、中国側から確認した」と述べました。

その上で「わが国の立場が規制の即時撤廃であることに変わりはなく、今回の発表を撤廃につなげていきたい」と述べ、日本産水産物の輸入停止措置そのものの撤廃も引き続き求めていく考えを強調しました。

中国外務省 “輸入 段階的に再開で日本側と一致”

中国外務省は、東京電力福島第一原発にたまる処理水の海洋放出を受けて2023年8月から全面的に停止していた日本産水産物の輸入について、独立したサンプル採取などのモニタリング活動を実施した上で基準を満たした水産物の輸入を段階的に再開することで日本側と一致したと発表しました。

中国政府は処理水を「核汚染水」と呼び、「予防措置をとって国民の健康を守るのは完全に正当だ」と措置の正当性を主張し、これに対し、日本政府は「科学的な根拠に基づいていない」として即時撤廃を求め、日中両政府の間で協議が続けられていました。

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