FRBは18日までの2日間、金融政策を決める会合を開きました。
声明ではインフレ率についてFRBの目標である「2%に持続的に向かっているという自信を深めている」とする一方で、労働市場については「雇用増加のペースは鈍化し、失業率は上昇しているものの依然として低い水準だ」と指摘しました。
インフレと、物価上昇の要因となってきた労働市場のひっ迫が改善してきたという認識を示した形です。
そのうえで、政策金利を0.5%引き下げることを決めました。
これによって政策金利は4.75%から5%の幅になります。
今回決定した利下げ幅は通常の2倍で労働市場が一段と減速するリスクを踏まえ、大幅な利下げに踏み切ったものとみられます。
利下げは2020年3月、新型コロナの感染拡大で株価の急落などに対応するため臨時の会合で利下げを決めたとき以来、4年半ぶりとなります。
アメリカでは2021年からインフレが加速し、おととしには消費者物価指数の上昇率が9.1%と、およそ40年ぶりの記録的な水準となりました。
インフレを抑え込もうと高金利を維持してきたFRBの金融政策はこれで大きな転換点を迎えました。
円相場 一時140円台後半まで値上がり FRBの利下げ受け
18日のニューヨーク外国為替市場では、FRB=連邦準備制度理事会が0.5%の利下げに踏み切ったことを受けて、日米の金利差が縮小するという見方からドルを売って円を買う動きが出て、円相場は、一時、1ドル=140円台後半まで値上がりしました。
また、ニューヨーク株式市場のダウ平均株価はFRBによる大幅な利下げによって景気や企業業績が下支えされるという期待感が出て、一時、300ドルを超える値上がりとなりました。
FRBの政策の推移
インフレを抑え込むため、FRBが利上げを開始したのはおととし3月。
それまでのゼロ金利政策を解除して金融引き締めへと転換します。
しかし、その後もインフレに収束の兆しは見えず、おととし6月の消費者物価指数は前の年の同じ月と比べ9.1%の上昇と、およそ40年ぶりの記録的な水準となりました。
このためFRBは、おととし6月から11月の会合まで4会合連続で0.75%という大幅利上げに踏み切りました。
通常、1回の会合で決める利上げ幅は0.25%。
その3倍の利上げ幅を4会合連続で決定したことは極めて異例のことでした。
こうした急速な利上げの影響を受けて去年3月から5月にかけては3つの銀行が経営破綻しました。
それでもFRBはインフレ抑制を優先にする姿勢を示し、去年3月と5月にそれぞれ0.25%の利上げを決定しました。
続く6月の会合ではそれまでの金融政策の影響を評価するためなどとしておととし3月以降、初めて利上げを見送りましたが、去年7月の会合では、インフレの要因である人手不足が続いていることなどから0.25%の利上げを決定。
利上げの回数はおととし3月以降、あわせて11回に及びました。
政策金利は5.25%から5.5%の幅と、2001年以来の高い水準となりました。
去年9月以降の会合では、物価の上昇が落ち着き、インフレの要因となっていた人手不足に改善の兆しが見られたことなどからFRBがいつ利下げに踏み切るかが焦点となりました。
ことし1月から3月にかけてインフレの根強さや経済の堅調さを裏付ける経済指標が相次いだだため高い金利水準を維持してきました。
その後はインフレ率の低下傾向が続きます。
4月以降、消費者物価指数の上昇率は5か月連続で前の月を下回り、先月は2021年2月以来、3年半ぶりの低い水準となりました。
パウエル議長は7月の会合後の記者会見で「利下げは早ければ9月の会合で決定される可能性がある」と述べたほか、先月23日に西部ジャクソンホールで開かれたシンポジウムでの講演では「金融政策を調整する時が来た」と発言しました。
このため市場ではFRBが今回、9月の会合で利下げに踏み切ることがほぼ確実視されていました。
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