中国南部の広東省深圳で18日朝、登校中だった日本人学校の男児1人が男に襲われ、負傷した。中国当局が容疑者の男の身柄を確保し、取り調べている。中国では6月にも江蘇省蘇州市で日本人学校の送迎バスが刃物を持った男に襲われており、日本政府は在外公館を通じて安全対策を強化していた。

 中国外務省によると、男児は10歳で、学校の校門から約200メートルの場所で男に刺されたという。林剣副報道局長は同日の定例会見で、「ケガをした児童はすぐに病院に運ばれ、全力で手当てをしている」と説明した。

 一方、森屋宏官房副長官は同日午後の記者会見で、「(男児の)容体は不明だが、現在も病院で治療を受けている」と述べた。また、「在中国日本大使館および在広州総領事館から中国側に対し、詳細情報の共有を求めるとともに、日本人の安全確保について万全を期すよう再発防止を強く求めた」と説明。現地には在広州総領事館の館員を派遣し、事実関係の確認や関係者との連絡などの支援に当たっているという。

 18日は、満州事変の発端となった柳条湖事件が起きた日に当たり、中国では「国恥の日」とも呼ばれる。遼寧省瀋陽市では毎年記念式典が開かれ、反日感情が高まりやすいとされる。森屋氏は「犯行の背景については現地当局が取り調べを行っており、予断をもってお答えすることは差し控える」とした。

 中国当局も捜査が進行中だとして詳細な説明は避けつつ、「中国側は引き続き友好的な措置を講じ、中国にいる外国人の安全を保護する」とした。

 江蘇省蘇州市で6月に起きた日本人学校の送迎バス襲撃では、バス案内係の中国人女性が死亡し、日本人母子がけがをした。政府は、日本人学校などに安全確保対策の早急な再点検を求め、在外公館からも安全対策指導をするなど取り組みを強化してきた。来年度予算案の概算要求にも中国でのスクールバス警備費として3億5千万円を計上している。

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