ボーイングの工場前でストライキの看板を掲げる労働組合員ら(15日、米西部ワシントン州シアトル郊外)=ロイター

【ヒューストン=花房良祐】航空機大手の米ボーイングは16年ぶりの大型ストライキを受けてコスト削減を進める。航空機部品の発注停止や新規採用・昇給の凍結、不急の出張の延期などが柱。ボーイングに部品を供給する日本企業に影響が波及しそうだ。

ブライアン・ウェスト最高財務責任者(CFO)が16日、従業員向けのメモで公表した。コスト削減額の規模については言及しなかった。

ボーイングは労働組合と賃上げや待遇改善を巡り合意できず、13日から3万人以上がストに突入した。米西部ワシントン州シアトル郊外などにある小型機「737MAX」、中型機「767」、大型機「777」などの工場が対象。

中型機「787」の工場の従業員は組合に加盟していないため、稼働が続いている。

ウェスト氏によると、現金流出を減らすために部品会社への発注を大幅に減らす。737、767、777などの部品メーカー約1万社が対象という。三菱重工業といった日本企業は777の機体の生産に21%、767は15%の割合で参加している。

出張旅費も削減する。不急の出張も控えるほか、ボーイング幹部のファースト・ビジネスクラスでの出張を停止する。

新規採用と昇給を凍結するうえ、一部の社員・幹部の一時帰休も検討する。広告宣伝費、慈善事業への寄付、社内のケータリング費用を減らし、展示会への出展も取りやめる。

2008年の前回ストは約2カ月続いた。その前は05年で約1カ月だった。会社は組合との交渉を急ぎ、早期の正常化を目指す。組合員はストの間は無給で、貯金でやり繰りしている。

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