徳川家康がモデルの主人公を演じた真田広之さんはプロデューサーも兼務した =Courtesy of FX Networks

【ロサンゼルス=中藤玲】米テレビ界で最高の栄誉とされる第76回エミー賞の授賞式が15日(日本時間16日)、米ロサンゼルスで開かれ、ドラマ「SHOGUN 将軍」で主演とプロデューサーを務めた真田広之さんが主演男優賞に選ばれた。エミー賞で日本人俳優が主演男優賞に選ばれたのは初めて。

戦国時代を舞台にした同作品では、真田さんが徳川家康をモデルにした主人公の武将を演じた。太閤亡き後、漂着した英国人航海士と交流しながら、敵対する大老たちと戦って天下取りを目指す物語だ。

真田さんは1960年生まれ。子役から出発し、俳優の千葉真一さんのもとで本格的に芸能活動をスタートした。数多くの映画やドラマに出演し、日本を代表するアクション俳優として活躍。トム・クルーズさんや渡辺謙さんらと共演した映画「ラスト サムライ」(2003年)で国際的に名を高め、現在は米国と日本の両方で活動している。

15日の授賞式では、「SHOGUN」からフレッド・トーイ監督が監督賞を受賞した。物語の主要な舞台である伊豆地方の野心家を演じた浅野忠信さんと、主人公の宿敵となる大老を演じた平岳大さんも助演男優賞にノミネートされていたが、受賞を逃した。

「SHOGUN」は作家ジェームズ・クラベルの1975年のベストセラー小説が原作で、80年にも米国でドラマ化された。当時主演した三船敏郎さんがエミー賞の主演男優賞にノミネートされていたが、受賞はならなかった。

今回は米ウォルト・ディズニー傘下の米FXが制作し、日本人のキャストやスタッフが多く参加した。日本を描く歴史劇として違和感のない表現をするために、真田さんがプロデューサーも兼務。カナダでの撮影期間中は、自分の出番がない日も現場に通い、小道具の確認やスタッフとの橋渡し役などを担った。

米国ではFXで放送、動画配信サービス「Hulu」で配信され、日本では動画配信「ディズニー+(プラス)」で視聴できる。配信開始から6日間で900万回の再生を記録し、世界でのヒット作となった。

エミー賞は米テレビ界のアカデミー賞といわれ、「戦国もの」が米国の権威ある賞の候補になるのは珍しい。8日には主要部門に先駆けて技術や美術系などの一般部門の受賞が発表され、日本人7人を含む14冠を獲得した。AP通信によると、テレビ番組の単一シーズンの受賞数としては過去最多という。

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