真田さんは徳川家康をモデルにした吉井虎永役を演じた  ©2024 Disney and its related entities

【ロサンゼルス=中藤玲】米テレビ界で最高の栄誉とされる第76回エミー賞の授賞式が15日(日本時間16日)、米ロサンゼルスで開かれ、ドラマ「SHOGUN 将軍」が作品賞に選ばれた。真田広之さんが主演とプロデューサーを務め、日本人俳優として初めて主演男優賞に輝いた。アンナ・サワイさんは主演女優賞に選ばれた。

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SHOGUNは作家ジェームズ・クラベルの1975年のベストセラー小説が原作。真田さんが徳川家康をモデルにした主人公の武将を演じた。領地に漂着した英国人航海士と交流しながら敵対する大老たちと戦い、天下取りを目指す物語だ。

15日の授賞式では、「SHOGUN」から監督賞も受賞した。物語の主要な舞台である伊豆地方の野心家を演じた浅野忠信さんと、主人公の宿敵となる大老を演じた平岳大さんも助演男優賞にノミネートされていたが、受賞を逃した。

米ウォルト・ディズニー傘下の米FXが制作し、日本人のキャストやスタッフが多く参加した。日本を描く歴史劇として違和感のない表現をするために、真田さんがプロデューサーも兼務した。時代考証を重ね、カナダでの撮影中は演出や小道具など細かい点にも気を配り、当時を忠実に再現した。

米国ではFXで放送、動画配信サービス「Hulu」で配信され、日本では動画配信「ディズニー+(プラス)」で視聴できる。配信開始から6日間で900万回の再生を記録し、世界でのヒット作となった。

同小説は1980年にも三船敏郎さん主演で米国でドラマ化された。米CNNは今回の受賞作と旧作の違いについて、「当時よりも日本人からの視点で物語が展開されたことは、グローバルなテレビ環境を表している。日本社会の男性優位な構造などを考えると、女性の役割を強調した点でも制作陣の手腕は見事だ」と評した。

米ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は「80年代の米国のビジネスパーソンは日本の経済的成功を理解しようと(旧作ドラマから)侍の秘密を学び始めた。2020年代の米国の指導者たちは、日本の戦国時代に目を向けて、ひっくり返った世界でどう競争して生き残るかの教訓を学ぶだろう」と報じた。

エミー賞は米テレビ界のアカデミー賞といわれ、「戦国もの」が米国の権威ある賞の候補になるのは珍しい。8日には主要部門に先駆けて技術や美術系などの一般部門の受賞が発表され、日本人7人を含む14冠を獲得した。AP通信によると、テレビ番組の単一シーズンの受賞数としては過去最多という。

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