北方領土と本土との距離を実際に歩いて体感するイベント「北方領土まで歩こう会」が15日、北海道根室市で開かれた。市民ら477人が参加した。
誰でも気軽に参加できるウォーキングを通じて、北方領土問題の解決に向けた世論の喚起を図ろうと「北方領土隣接地域振興対策根室管内市町連絡協議会」が主催した。
本土から三つの島々までの距離をもとに、貝殻コース(3.7キロ)、水晶コース(7キロ)、国後コース(16キロ)の3コースを設定。参加者は自分の体力などに応じてコースを選んだ。
2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻を機に、日ロ関係が悪化し、北方領土の元島民らによる墓参などの活動ができない状況が続いている。
根室市の石垣雅敏市長は出発式で、「いままで積み上げてきたビザなし交流や墓参ができなくなり、北方領土問題そのものが希薄化していくことを心配している。こんな時だからこそ、北方領土返還への思いを全国に届ける必要がある」と語った。
根室市内は時折、小雨も混じる肌寒い天気となったが、市内や近隣の市民のほか鈴木貴子衆院議員らも加わり、ゴール地点の納沙布岬に向けて歩みを進めた。
水晶コースの7キロを歩いた根室市の鴇田(ときた)千恵子さん(64)は「実際に歩いてみて、本当に近い。元島民の高齢化が進んでいるので、いま途絶えている交流が一日も早く復活するよう願っています」と話していた。(山本智之)
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