【NQNニューヨーク=戸部実華】12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は続伸し、前日比235ドル06セント(0.57%)高の4万1096ドル77セントで終えた。前日に続き、ハイテク株を中心にこのところ売りが目立っていた銘柄に見直し買いが優勢となった。米連邦準備理事会(FRB)による利下げ観測も投資家心理を支えた。

前日はエヌビディアなど半導体やハイテク株への買いで指数が上昇に転じて終え、主力株への物色が続くとの期待が12日も相場を支えた。欧州中央銀行(ECB)は12日に2会合ぶりとなる利下げを決めた。FRBが来週開く米連邦公開市場委員会(FOMC)では大幅利下げの観測は後退しているものの、他の中銀の流れに沿うように「継続的な利下げが見込まれハイテク株を中心に買いを誘った」(ベンセニョア・インベストメント・ストラテジーズのリック・ベンセニョア氏)との声が聞かれた。

12日朝発表の8月の米卸売物価指数(PPI)は前月比0.2%上昇し、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想と一致した。市場では前日発表の8月の米消費者物価指数(CPI)とあわせてFRBの利下げ開始観測を変えなかったうえ「今週の米大統領選挙の候補者によるテレビ討論会も通過し、主力株を中心に押し目買いが入りやすかった」(インガルズ・アンド・スナイダーのティモシー・グリスキー氏)との見方もあった。

ダウ平均は200ドル近く下げる場面もあった。市場ではFRBの利下げペースが緩やかにとどまり、政策で後手に回るとの懸念もくすぶった。先行きの景気を巡る不透明感は相場の重荷となった。

個別銘柄ではセールスフォースやアマゾン・ドット・コム、マイクロソフトといったハイテク株が買われた。スリーエムやキャタピラー、ウォルト・ディズニー、ホーム・デポも高い。半面、インテルやダウ、JPモルガン・チェースは下げた。

ハイテク株比率が高いナスダック総合株価指数は4日続伸した。前日比174.145ポイント(1.00%)高の1万7569.676で終えた。メタプラットフォームズやアルファベットが買われた。半導体銘柄ではアナリストが最も買いを推奨する「トップピック銘柄」で据え置いたエヌビディアとブロードコムがともに上昇した。半面、アナリストが投資判断を引き下げたマイクロン・テクノロジーが安い。

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