VW本社で記者会見に応じた従業員代表とIGメタル(4日、独北部ウォルフスブルク)=AP

【フランクフルト=林英樹】ドイツ最大の産業別労働組合IGメタルは12日、独フォルクスワーゲン(VW)との労使交渉を9月25日から始めると明らかにした。労使交渉は例年、10月下旬から始まる。VW経営陣による独国内工場閉鎖の検討や雇用保障を含めた労働協約破棄の通告を受け、1カ月近く前倒しする。第1回交渉は独北部ハノーファーで開かれる。

IGメタルは同日「経営陣は従業員に対する責任を果たしていない」とし、労使交渉で工場閉鎖と人員削減について反対の立場をとる考えを改めて示した。リストラ計画の撤回に加え、7%の賃上げも要求する。

VWは2日、同社初となる独国内工場の閉鎖を検討していると明らかにした。10日には、2029年までの雇用保障を含めた複数の労働協約の破棄を労組に通告していた。緊迫した状況から労組は労使交渉の前倒しをVWに求めており、経営陣が応じた格好だ。

IGメタルによると、12月1日から従業員の雇用確保や補償に関するストライキが可能になる。IGメタルの担当者は「必要とあらば、数万人規模のVW従業員が不満を表明することは明らかだ」とスト実施を示唆しており、交渉は難航が予想されている。

【関連記事】

  • ・VW、最大労組との協約破棄 工場閉鎖・大量解雇に道筋
  • ・EV戦略、欧州勢の誤算 先行ボルボ「100%化」計画撤回
  • ・独最大労組、数万人規模のデモ実施示唆 VW工場閉鎖で

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。