【NQNニューヨーク=矢内純一】25日の米株式市場でダウ工業株30種平均は大幅に続落して始まり、午前9時40分現在は前日比562ドル54セント安の3万7898ドル38セントで推移している。四半期決算を発表した銘柄の一部が大幅安となり、ダウ平均を押し下げている。米国のインフレ圧力が根強く、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ開始を巡る不透明感があることも株売りにつながっている。ダウ平均の下げ幅は700ドルを超える場面がある。
ダウ平均の構成銘柄では、キャタピラーが大幅安。朝発表の24年1〜3月期決算で売上高が市場予想を下回った。24年12月期通期の見通しも慎重との受け止めから、売りが優勢となっている。前日夕に24年1〜3月期決算を発表したIBMも急落し、ダウ平均の重荷となっている。
ダウ平均の構成銘柄ではないが、メタプラットフォームズが一時16%下げた。24日夕に決算と併せて発表した売上高見通しが市場予想を下回ったほか、設備投資計画を引き上げたことを材料に売りが膨らんでいる。ほかのハイテク株にも売りが波及し、アマゾン・ドット・コムとセールスフォースが下げている。25日の取引終了後に決算を発表するマイクロソフトも安い。
米物価上昇を巡る懸念も投資家心理を冷やしている。25日朝発表の24年1〜3月期の米実質国内総生産(GDP)の速報値は前期比年率1.6%増と、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(2.4%増)を下回った。一方、個人消費支出(PCE)物価指数で食品とエネルギーを除くコア指数の上昇率が前期比年率3.7%と、23年10〜12月(2.0%)から加速した。
同日発表の週間の新規失業保険申請件数は20万7000件と、市場予想(21万5000件)を下回った。米国のインフレ圧力がなお根強いとの見方から、米債券市場では長期金利が上昇(債券価格は下落)している。一時は4.73%と、昨年11月上旬以来の高水準になった。金利の上昇で株式の相対的な割高感が出たとみた売りも出やすい。
そのほかの個別銘柄では25日朝に決算を発表したダウとハネウェル・インターナショナルが下落している。一方、メルクは上昇。同日発表の24年1〜3月期決算で売上高と1株利益が市場予想を上回ったうえ、24年12月期通期見通しを引き上げたことが好感されている。コカ・コーラとユナイテッドヘルス・グループも高い。
ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は4営業日ぶりに反落して始まった。下落率は2%を超える場面がある。
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