【トロント=川上梓】ホンダは25日、カナダに電気自動車(EV)と電池工場を新設すると発表した。総投資額は150億カナダドル(約1兆7千億円)で2028年にも稼働する。ホンダとしては過去最大規模の投資になる。カナダ政府などの資金支援を受ける。電池や材料を含めた供給網を北米で構築し、EV生産で巻き返す。
オンタリオ州にある既存の完成車工場の隣接地に、EVの組み立て工場と電池工場の建設を検討する。ホンダは米オハイオ州の完成車工場でも25年後半からEV生産の開始を検討している。カナダの新工場が稼働すれば、北米のEV工場は2拠点目となる。
年間最大生産能力は24万台規模、電池の生産最大能力は36ギガワット時を想定する。補助金などを踏まえると、総投資額の1兆7千億円のうちホンダ負担分は6〜7割となる見通し。電池は自前調達する方針で、従来の電池からコストの2割削減を目指す。
主要部材の電池とEVを含めて北米で一貫した調達網を構築する。電池の主要原材料では、韓国ポスコと正極材、旭化成とセパレーター(絶縁材)をつくる合弁会社をカナダで立ち上げる。安定調達とともに、コスト競争力を高める。
カナダは23年12月に「脱ガソリン」を宣言した。35年までに全ての新車をEVなどの電動車にする計画を掲げ、EV産業の誘致を進めてきた。地域で自国内のEV投資が拡大すると判断し、ホンダなど日本の自動車産業への財政支援を決めた。
北米はホンダの世界販売の4割を占める重要地域だ。現在はガソリン車の販売が大半を占めるが、北米のEVと燃料電池車の販売比率を30年に40%、35年に80%に引き上げる方針。北米で2カ所のEV工場を整備し、目標達成を急ぐ。
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