ミサ後に会場を後にするローマ教皇フランシスコ(10日、ディリ)=AP

【ディリ=共同】ローマ教皇フランシスコは10日、国民の97%超がカトリックを信仰する東ティモールの首都ディリでミサを執り行った。2002年のインドネシアからの独立後、教皇の訪問は初めて。独立闘争では複数のカトリック教会で虐殺が起きた。会場に全土から十数万人が集まり、平和に祈りをささげた。

教皇はミサで「多くの子どもに恵まれ活気に満ちた若き国よ。傷を癒やし、新しい土台を築こう」と述べた。

教皇は9〜11日ディリに滞在。9日にはラモス・ホルタ大統領と会談し、東ティモールとインドネシアの良好な関係を踏まえ「世界の他の紛争でも憎しみを和解にできるように」と語りかけた。

南西部スアイでは1999年9月、併合派民兵らが教会で避難者や神父を虐殺し、女性たちを暴行した。ミサに参列した生存者のマリア・アマラルさん(49)は「あの日聞いた銃声や絶叫、心の傷を忘れない。今日を迎えられ、感無量だ」と目に涙をためた。

ディリの町中に掲げられた教皇を歓迎する垂れ幕には、未成年者への性的虐待で2020年にバチカンから制裁を受けた東ティモールのベロ司教(76)の姿も印刷されていた。ベロ氏はノーベル平和賞受賞者で、制裁後も人気が高い。

東ティモールへは1989年、故ヨハネ・パウロ2世が訪問した。当時はインドネシアによる併合を国連が認めず帰属問題が未解決で、ミサの終盤に若者が独立を訴え一時騒然とした。

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