NHKのラジオ国際放送などの中国語ニュースで、中国人の外部スタッフの40代男性が、沖縄県の尖閣諸島を「中国の領土」などと原稿にない発言をした問題を巡り、放送直前にこの男性が靖国神社の落書きのニュース原稿を読むことに抵抗感を示していたことが7日、複数のNHK関係者への取材でわかった。
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放送には、中国語がわかるNHK職員と外部のディレクターが立ち会っていた。NHKが聞き取りなどを進め、原因を調べている。
関係者によると、男性は問題のあった8月19日の放送で、靖国神社で落書きが見つかり、警視庁が器物損壊事件として捜査しているというニュースを取り上げる際、事前に抵抗していた。居合わせたスタッフは当時の様子について、「説得を受けて納得したと思った」といった趣旨の説明をしているという。
しかし、落書きのニュースを読んだ後、中国語で沖縄県の尖閣諸島について「中国の領土です」と言い、英語で「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」などと述べ、原稿にはない発言を約20秒間した。
男性は関連団体と業務委託契約を結んでいた。契約書には、国際問題に対する日本の公的見解を正しく伝えることなどを定めたNHK国際番組基準を順守することが明記されていた。関係者によると、男性は近年、日中関係の悪化に伴って日中間で争いのある話題を扱うことに敏感になっており、不満をもらしていたという。別の関係者は「日頃から、日本政府の見解を伝えることに支障がないか、明確に確認する必要があった」と話す。
また、この男性が原稿を読み上げた過去の放送3カ月分を調べたところ、他には不適切な発言はなかったという。
今回の問題を受けて、NHKは中国語のニュースを事前収録に切り替え、AI(人工知能)アナウンスの導入を検討するといった再発防止策をすでに発表している。
NHKは近く会見を開き、詳細を説明する予定。(宮田裕介、滝沢文那)
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