イスラエルとハマスの間では、停戦と人質の解放に向けた協議が続いていますが、イスラエルのネタニヤフ首相はエジプトとの境界地帯にある戦略的要衝、「フィラデルフィ回廊」での軍の駐留を続けることで、ハマスへの圧力をかけ続ける考えを示しています。

これについてハマスは「フィラデルフィ回廊から撤退しないというネタニヤフ首相の判断は合意を妨害するものだ」などと非難し、協議の先行きは、依然、不透明なままです。

UNRWA 清田明宏保健局長 “ガザの人はみな疲れている”

一方、ガザ地区で続けられているポリオのワクチン接種は5日から南部でも行われ、このうち、ハンユニスの診療所では大人に付き添われた大勢の子どもたちが次々と接種を受けていました。

接種にあたっているUNRWA=国連パレスチナ難民救済事業機関の清田明宏保健局長はNHKの取材に対し、「今回、ポリオのワクチン接種のキャンペーンで戦闘停止の期間が設けられたがここでもう戦闘行為を終えて、彼らが普通の生活に戻る努力を始められるように、国際社会に要請したい。戦闘は長すぎるし、ガザの人はみな疲れている」と話し、一時的な戦闘休止ではなく恒久的な停戦が今すぐ必要だと訴えていました。

赤十字国際委員会 事務局長 “長期的な解決策”

ワクチン接種を支援しているICRC=赤十字国際委員会のクレヘンビュール事務局長が5日、都内でNHKのインタビューに応じました。

この中で、クレヘンビュール氏はICRCがことし5月に南部のラファに開設した病院でも現地時間の5日からワクチン接種を始めるとした上で、「数日間に限られた戦闘休止ではなく、長期的な解決策こそが全ての人に尊厳をもたらすことを認識しなければならない」と述べ、戦闘の一時休止だけでは不十分で停戦の実現が必要だという認識を示しました。

さらに、「われわれがガザ地区で目にしている戦闘の状況に大きな改善が必要であることは明らかだ。国際人道法の基本的な観点からも明白な課題が存在する」と述べた上で、イスラエル側とハマス側の双方に対して、国際人道法を尊重した対応を呼びかけていく姿勢を強調しました。

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