7月は政府部門を除く求人件数が14万5000件減った(ワシントン)

【ワシントン=赤木俊介】米労働省が4日発表した7月の雇用動態調査(JOLTS)によると、非農業部門の求人件数(季節調整済み、速報値)は767万3000件だった。前月から23万7000件減り、市場予測(810万件)を下回った。2021年1月以来、およそ3年半ぶりの低水準となった。

米国では金利の高止まりと与信環境の引き締まりが長期化し、企業の事業運営を圧迫している。これが7月の求人件数減少の背景になっている。

7月は政府部門を除く求人件数が14万5000件減った。医療・社会福祉の求人件数が18万7000件、物流・卸売及び小売業も15万7000件それぞれ求人件数が減った。建設業も5万1000件減った。一方、ビジネス・専門サービスの求人件数は17万8000件増えた。

7月の採用件数(政府部門は除く)は前月比で28万5000件増え、518万5000件となった。レイオフ(一時解雇)などを含む解雇件数(政府部門は除く)は167万5000件だった。前月から19万6000件増えた。

労働省が8月2日発表した7月の雇用統計を基に計算すると、同月は失業者1人に対し約1.1件の求人があった。失業者に対する求人件数は21年5月以来の低さだ。

米インディード・ハイアリングラボのエコノミスト、ニック・バンカー氏は「米連邦準備理事会(FRB)を含め、米労働市場がこれ以上冷え込むことを望む人はいない」と話す。「労働市場(の状態)は適度な鈍化を通り越し、悪化傾向にある。求人件数が800万件を切ったことは懸念材料となる」と分析している。

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