アーチェリーの男子個人コンパウンドの、アメリカのマット・スタッツマン選手は、生まれたときから両腕がなく、右足の指の間にアーチェリーの弓を挟んで構え、体に装着した器具を使って弦を引いた上で、顔をわずかに動かすことで矢を放ちます。

パラリンピックに初めて出場した2012年のロンドン大会で銀メダルを獲得し、パラリンピックを象徴する選手の1人として知られています。

大会5日目の1日、3大会ぶりの決勝に臨んだスタッツマン選手は東京大会で銅メダルを獲得した中国の選手と対戦し、15回のうち14回で満点の10点を、残りの1回も9点を出すほぼ完璧なパフォーマンスで、149対147で勝ちました。

初の金メダル獲得を決めた瞬間、スタッツマン選手は跳び上がって喜びをあらわにしていました。

41歳のスタッツマン選手は長年にわたる競技の影響でけがに苦しみ、パリ大会が最後のパラリンピックになる可能性が高いとしていましたが、試合後「最後のパラリンピックになることは分かっていたので、いろいろな感情があふれている。金メダルを取れるとは思っていなかった」と話し、4年後のロサンゼルス大会は目指さない意向を改めて明らかにしました。

それでも今大会のアーチェリー競技に、両腕がない選手が初めて自分以外に3人出場したことに触れ「あとを継いでくれるすばらしい選手たちがいるので大会を去るのは悲しくない。今度は彼らが輝く番だ」と述べ、今後は後輩たちの挑戦を支えていきたいとしました。

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