ベラルーシのルカシェンコ大統領はウクライナ軍がベラルーシ国境付近で活動を強めていると主張する=ロイター

ロシアのウクライナ侵略を支援するベラルーシがウクライナ国境近くに軍部隊を集結させているとして、ウクライナが反発を強めている。ベラルーシ外務省は26日の声明で、ウクライナが挑発行為を続けていると主張し、両国の言い分は対立している。

ウクライナ外務省は25日の声明で、自国との国境に近いベラルーシ南東部ゴメリ州に同国軍部隊が集まっていると明らかにした。軍事演習を名目として、兵士のほか戦車や大砲などの兵器が集結しているという。

ベラルーシに対して「非友好的な作戦行動を止め、軍隊をウクライナの国境からベラルーシの兵器の射程外の距離まで移動させるよう求める」とした。ベラルーシが国境を侵した場合は「必要なあらゆる措置をとる」と警告した。

部隊の中にはロシアの民間軍事会社ワグネルに属していた兵士も含まれるとしている。2023年6月にワグネルがロシアで武装蜂起した後、ベラルーシのルカシェンコ大統領がロシア政府との間を仲介して反乱が沈静化した経緯があり、一部の戦闘員はベラルーシに移動していた。

ベラルーシの独立系のメディアは、ベラルーシがウクライナ国境付近に配備した兵士の人数は少なくとも1100人を超えると報じている。

一方、ベラルーシ外務省は26日の発表で「ウクライナ側からの国境での絶え間ない挑発行為がある」などと主張した。

ベラルーシ国防省は26日、ゴメリ州で領土防衛部隊の演習を9月6日まで実施すると発表した。参加人数については明らかにしていない。

ルカシェンコ氏はこれまで、ウクライナ軍がベラルーシ国境付近で活動し、同国軍の脅威が高まっていると主張していた。

ウクライナとロシアの戦闘が長期化する中、ベラルーシがロシアと連携しウクライナへの威嚇行為を強めている可能性もある。ウクライナは「ロシアの圧力」が働いていると主張した。

ウクライナは6日にロシア西部のクルスク州に越境攻撃を開始した。ウクライナメディアによると、同国軍のシルスキー総司令官は27日、クルスク州で約100の集落を制圧したと主張した。ロシア軍は部隊を増強してウクライナの進軍を阻止しつつあるとみられる。

ベラルーシはロシアと同盟関係にあり欧米諸国から制裁を受けている。両国は軍事や産業面の連携を強め、制裁を強める西側諸国に対抗しようとしている。

ロシアは23年、ベラルーシに戦術核を配備した。ロシアが24年春に実施した戦術核兵器の使用を想定した演習では、第2段階にベラルーシ軍が参加した。

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