ウクライナにとって旧ソビエトからの独立記念日にあたる24日、ゼレンスキー大統領はキーウで開かれた式典で演説し「われわれは、ウクライナ人がこれから先も自由な首都、そして、自分たちの主権国家でこの祝日を祝えると確信している。ウクライナは常に独立を維持する」と述べて、ロシアに対抗していく決意を改めて示しました。
そのうえで「きょう、ウクライナ製の新型のドローン兵器が初めて実戦で使用され、成功を収めた。これは侵略者に対する新しい報復の手段だ」と述べ、新型兵器の開発に成功したことをアピールしました。
一方、24日にはロシアとウクライナの間で捕虜の交換が行われ、双方からそれぞれ115人の兵士らが解放されました。
ロシア国防省によりますと、ウクライナ側から解放されたのは、ウクライナ軍が大規模な越境攻撃を行っているロシア西部のクルスク州で捕らえられた兵士たちだということです。
捕虜の交換が行われるのは、今月6日にウクライナ軍が越境攻撃を開始して以来、初めてで、UAE=アラブ首長国連邦が交渉を仲介しました。
ゼレンスキー大統領は、会見で「将来の捕虜交換のために、ロシア人捕虜を毎日確実に増やしてくれる兵士や部隊に感謝する」と述べ、越境攻撃の成果だという認識を示しました。
ウクライナ側は今月14日、クルスク州でロシア軍の兵士100人以上を捕虜にしたと明らかにするとともに、捕虜交換に前向きな姿勢を示していました。
専門家 “核兵器による報復リスク 見直すことにもつながる”
ウクライナ軍が、今月始めたロシア西部クルスク州への大規模な越境攻撃について、エストニアのシンクタンク、国際防衛安全保障センターで研究員を務め、ロシア・ウクライナの安全保障に詳しい保坂三四郎氏は「プーチン大統領にとってクルスク州の一部が占領されたというのは非常に体裁が悪い。ウクライナ軍が侵攻したということは言わず、あくまでテロと呼ぶことでその脅威を低く、小さく見せようとしている」と指摘しました。
その上で「自国の領土を一部占領されても核兵器を使わない、あるいは使えない。今回のロシアの対応はこれまで欧米政府の関係者が懸念していた核兵器による報復のリスクを見直すことにもつながる」と述べ、欧米各国による今後のウクライナへの軍事支援に影響を及ぼす可能性があるという見方を示しました。
そしてウクライナ側のねらいについて「ウクライナは、11月のアメリカ大統領選挙でトランプ政権が誕生した場合、交渉に向けた圧力がかかることを懸念している。ロシアの一定の地域を占領しておくことによって将来ありえるロシアとの交渉に向けてカードを用意しておく。軍事的なメリットを得るというよりも、政治的な目的がかなり強い作戦ではないか」と述べ、アメリカの大統領選挙を見据えた動きだと分析しています。
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