NHKのラジオ国際放送などで、中国人の外部スタッフが沖縄県の尖閣諸島を「中国の領土」と生放送で伝えた問題で、NHKの稲葉延雄会長は22日、自民党本部で「深くおわび申し上げる」と報道陣に謝罪した。また、NHKは、このスタッフが、英語で「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな」などと発言をしたことを明らかにした。

 稲葉会長らNHK幹部はこの日、放送政策などを議論する自民党の情報通信戦略調査会に出席。

 出席した議員によると、稲葉会長からは信頼を損ねたことなどについて謝罪があった。経緯について説明した上で、20日から事前収録を実施し、AI音声の早期導入の検討といった再発防止策についても触れたという。

 また、NHKはこの日、このスタッフがラジオ国際放送などで、中国語で、「NHKの歴史修正主義とプロフェッショナルではない業務に抗議します」と述べ、英語で「南京大虐殺を忘れるな。慰安婦を忘れるな。彼女らは戦時の性奴隷だった。731部隊を忘れるな」と発言をしたことを明らかにした。

 NHKの発表によると、中国人の外部スタッフは40代男性。19日午後にラジオ国際放送などでの生放送で、靖国神社の石柱に落書きがあったニュース原稿を中国語で読む中、尖閣諸島について「中国の領土である」と述べるなど20秒ほど原稿にはない発言をしたという。

 NHKの国際放送は、政府見解などを海外に情報発信するため、国の交付金が出されていて、総務大臣がNHKに対して、放送事項などを指定して国際放送を行うよう要請できることも定められている。NHKは「放送の自由と番組編集の自由を最優先に、自主的な編集のもとで放送を行っている」としているが、ある同局関係者は「今回の件は、放送体制に問題があったが、番組内容への政治の介入がたやすくならないか、心配だ」と話す。(宮田裕介)

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