報告書は、去年12月に採択された国連総会の決議を受けてグテーレス事務総長が発表したもので、AIや量子コンピューター、材料科学などさまざまな先端技術について、軍事利用によるリスクや規制の現状などをまとめています。

このうちAIについては、イスラエルなどを念頭に「国家による軍事利用の報告が増えている」としたうえで、「大規模で無差別的な標的設定にAIが使われた場合、民間人の被害を抑える予防措置など国際法の原則に反するおそれがある」と懸念を示しています。

また、複数の先端技術の融合による「予期せぬ相互作用」についても詳しく分析していて、中でも核兵器とAIの組み合わせについては「核兵器発射の事前委任や自律制御などをシステムに組み込んだ場合、破滅的な結果をもたらす可能性がある」と警鐘をならしています。

そのうえで報告書は、すべての国連加盟国に対し、対策を話し合う多国間フォーラムを設けるよう勧告しています。

一方で報告書は「兵器化の危険性に対処する措置によって、グローバル・サウスの国々がこうした技術による、ばく大な利益へのアクセスを制限されないことが重要だ」とも指摘していて、各国の思惑が異なる中、先端技術のリスクをどう抑えるかが課題となっています。

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