今年1月、米北東部ニューハンプシャー州であった大統領選の予備選前、バイデン大統領に似せて人工知能(AI)で生成された音声の自動電話がかかり、投票をしないように呼びかけた事件で、米連邦通信委員会(FCC)は21日、なりすまし電話を発信した通信会社が100万ドル(約1億5千万円)を支払うことで和解したと発表した。
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FCCによると、罰金の対象はミシガン州の通信会社リンゴテレコムで、政治コンサルタントの男の依頼を受け、AIで生成された音声による自動電話をかけた。同社は今回、発信者番号の偽造を禁止する法律などを順守する確約も結んだ。FCCによるとこうした確約を結ぶのは初めてという。FCCのジェシカ・ローゼンウォーセル委員長は声明で「もしAIが使われているなら、いかなる消費者や有権者にも明確にすべきだ」と述べた。
偽電話をめぐっては、ニューハンプシャー州の司法当局が5月、政治コンサルタントの男を投票抑圧などの罪で起訴したほか、FCCもこの男に600万ドル(約9億円)の罰金を科すと発表していた。
1月の自動電話では、バイデン氏のような声の録音で「11月の(大統領)選挙のために、あなたの投票を取っておくことが重要だ」と、予備選の投票を控えるよう促していた。
最新のAI技術をめぐっては、米オープンAIが5月、対話型AI「ChatGPT(チャットGPT)」で人間と同じ速度で会話できる機能を発表。急速に技術が進化するなか、AIが生成したディープフェイク画像などの選挙への影響が懸念されている。(サンフランシスコ=五十嵐大介)
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