このシンポジウムは西部ワイオミング州の高原リゾート地として知られるジャクソンホールで毎年開かれています。

ことしは22日から主要国の中央銀行の幹部や経済学者などが一堂に集まり「金融政策の有効性と波及経路の再評価」をテーマに意見を交わします。

注目は例年、2日目の朝、日本時間の23日夜に行われるFRBのパウエル議長の講演です。

パウエル議長は先月の記者会見で「利下げは早ければ9月の会合で決定される可能性がある」と述べ、市場でも来月の会合でFRBが利下げに踏み切るとの見方が強まっています。

また、失業率が先月まで4か月連続で上昇するなど、景気減速への警戒感も広がっています。

今回の講演でパウエル議長が今後の利下げの幅やペース、そして景気の認識について、どのように言及するのかに関心が高まっています。

今月初旬、アメリカの景気の先行きや日米の金利差、円高への警戒感などから世界各地で株価が急落し、東京株式市場は過去最大の下落幅を記録しました。

パウエル議長の発言しだいでは金融市場に大きな影響が及ぶ可能性もあり、市場では警戒感も広がっています。

ジャクソンホールのシンポジウムとは

ジャクソンホールのシンポジウムは、西部・ワイオミング州にあるロッキー山脈を一望できる高原リゾート地のホテルで開催されます。

「ジャクソンホール会議」とも呼ばれています。

FRB=連邦準備制度理事会を構成する地区連銀の1つ、カンザスシティ連銀が主催しており、1978年に別の場所で始まった歴史ある会議です。

1982年から会場は今のジャクソンホールとなり、アメリカやユーロ圏、イギリス、カナダ、日本など主要な国の中央銀行総裁や幹部、経済学者、著名なエコノミストが参加し、雄大な自然の中、リラックスした雰囲気で世界経済や金融政策の課題について意見を交わします。

過去にはこのシンポジウムでの中央銀行幹部の発言によって、株式や為替など金融市場が大きく動いたことが何度もあったため、注目されるようになりました。

2010年8月の会合では、当時のFRBのバーナンキ議長が追加の金融緩和を示唆する発言をしたほか、2014年8月には、ヨーロッパ中央銀行のドラギ総裁が一段の金融緩和を示唆しました。

また、おととしはパウエル議長が講演で記録的なインフレを抑え込むための金融引き締めについて「やり遂げるまでやり続けなければならない」と述べて、利上げを継続する姿勢を鮮明にしました。

このとき市場ではFRBが景気に配慮して、利上げペースを緩めるとの楽観的な見方も出ていたため、パウエル議長の発言をうけて景気が冷え込むことへの警戒感が高まって売り注文が膨らみ、ダウ平均株価は1000ドルを超える急落となりました。

こうしたことからジャクソンホールのシンポジウムは、その後の金融政策を方向付ける重要なメッセージを発信する場になっていると、多くの市場関係者が受け止めています。

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