国際宇宙ステーション(ISS)にドッキングした新型宇宙船「スターライナー」=NASA提供・AP

【ヒューストン=花房良祐】米航空宇宙局(NASA)は14日、国際宇宙ステーション(ISS)に到着してから不具合が発生して地球に帰還できなくなっている新型宇宙船「スターライナー」を巡り記者会見を開催した。今後2週間以内に同船で宇宙飛行士2人を乗せて帰還させるかを判断する方針を示した。

NASA幹部は同日、「データを分析して来週後半か再来週に判断する会議を開催したい。8月最終週までに決める。時間を賢く使いたい」と話した。

スターライナーはNASAが航空宇宙大手ボーイングに地球とISSを往来する宇宙船として開発を委託。6月初旬に初めて有人で打ち上げた。ISSに到着したが推進装置などに不具合が発生して安全性に懸念が浮上している。

NASAは宇宙飛行士2人を乗せて安全に帰還できるか慎重に判断する構えだ。当初は8日間の滞在予定だったのが2カ月以上に及んでいる。安全性の懸念が拭えなければスペースXの宇宙船「クルードラゴン」で2025年2月に帰還させる方針だ。その場合は滞在期間が約8カ月になる。

ISSには通常、7人程度の宇宙飛行士が滞在して実験やISSの操縦・メンテナンスなどに携わっている。通常は半年おきに交代することが多い。ロシアの「ソユーズ」に3人、「クルードラゴン」に4人の宇宙飛行士が乗り込んで地球とISSを行き来している。

スターライナーを乗船していた2人のテストパイロットは米軍出身で複数回の宇宙滞在歴を持つベテラン宇宙飛行士。NASAによると2人はすでにISSで業務についており、元気だという。

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