バルト海の海底パイプラインの損傷で発生した気泡(22年9月、デンマーク沖)=ロイター

【フランクフルト=林英樹】ロシアとドイツを結ぶ天然ガスの海底パイプライン「ノルドストリーム」などが2022年9月に破壊された事件で、ドイツ連邦検察庁はポーランド在住のウクライナ人の男に対する逮捕状を取得した。一連の事件で逮捕状が出るのは初めて。

男は逃走しており指名手配した。独メディアが14日報じた。

妨害・爆破行為など憲法違反の疑いで逮捕状が出たのは、ウクライナ人のダイビングインストラクター、ウォロディミル・Z容疑者。事件当時、他のウクライナ人の男女2人らとともにヨットでバルト海を航行していた疑いがある。

独連邦検察庁によると、押収したヨット船内から爆薬の痕跡などが見つかったという。ウォロディミル容疑者は最近までポーランドの首都ワルシャワ近くに潜伏していたとみられる。

事件はスウェーデン沖とデンマーク沖をまたいだパイプライン・ノルドストリームとノルドストリーム2で起きた。22年9月下旬、バルト海の海面に巨大なガスの気泡が発生。確認したところ、4本のパイプラインのうち3本で計4カ所の損傷が見つかった。

損傷の状況から事故や故障ではなく、爆発物による破壊行為の可能性が高いとみて関係各国の検察当局が捜査に乗り出した。その後、スウェーデンとデンマークの検察当局は「司法管轄権がない」などとして捜査を打ち切り、独連邦検察庁に証拠資料などを引き継いだ。

ウクライナのゼレンスキー大統領はパイプライン破壊について政府の関与を否定している。

【関連記事】

  • ・独政府、ガスパイプライン会社を国営化 水素転換に布石
  • ・[FT]独、揺らぐウクライナ支援 与党議員が「終戦」要求
  • ・スウェーデン捜査打ち切り ノルドストリーム「破壊」で

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。