米ホテル大手3社の24年4〜6月期決算は、米国内などでの需要減退が目立った=ロイター

【ニューヨーク=弓真名】ヒルトン・ワールドワイドを含めた米ホテル大手3社の2024年4〜6月期決算が7日、出そろった。北米と中華圏で需要の減退が目立つとして、ともに24年通期業績の見通しを引き下げた。米国内の民泊利用も落ち込むなど、米サービス消費の柱である旅行需要の減速が目立ち始めた。

ヒルトン、「低所得層、貯蓄使い果たし旅行行きづらく」

7日に決算を発表したヒルトンは、24年12月期通期の業績見通しを下方修正した。ホテルの経営指標とされる「RevPAR(1部屋あたり売上高、フランチャイズを含む)」が前期比で2〜4%増になるとの従来予想から2〜3%増に見直した。

ヒルトンのクリストファー・ナセッタ最高経営責任者(CEO)は7日の決算説明会で「一部の国際市場で需要が弱まっていることと、レジャー旅行の伸び幅が正常化してきている」ためだと説明した。

マリオット・インターナショナルは中国市場での需要の低下を指摘。RevPARが3〜5%増えると想定していた従来予想の上限を引き下げ、3〜4%の成長になるとした。ハイアット・ホテルズも同様にRevPARの見通しを引き下げた。

各社が一斉に業績予想を引き下げる背景に、米国内と中華圏の需要が弱いことがある。6日に4〜6月期決算を発表したハイアットは、米国の平均客室単価(ADR)が前年同期から0.1%減った。中華圏も5%減だった。同社のボッタリーニ最高財務責任者(CFO)は「去年の同時期は中国で国内旅行が劇的に回復した」ため比較は難しいとし、需要が正常化してきていることを説明した。

ヒルトンのナセッタCEOは「低所得者層はパンデミック(世界的大流行)の間に貯蓄したお金をすべて使い果たし、今はさらに借り入れをしている。可処分所得が減少し、旅行を含むあらゆることをする能力が低下している」とし、警戒感をあらわにした。「富裕層に目を向けると(レジャー旅行などに使う)預金をまだ持っている個人がいる」とも付け加えた。

4〜6月決算は堅調、中東・アフリカ需要がけん引

米国内の旅行需要の減退はホテル大手以外でも見られる。6日に決算を発表した米民泊サービス大手のエアビー・アンド・ビーは、米国で宿泊需要が低下しているとして15%の最終減益を計上した。7〜9月期の業績見通しは市場予想を下回り、7日の米株式市場で同社の株価は前日終値と比べて一時15%下落した。

米景気の後退懸念が高まるなか、今後投資家たちはネガティブな業績見通しにより敏感に反応する可能性がある。米証券ジェフリーズはヒルトンの決算をうけたリポートで「マクロ経済の見通しが全般的に軟調で懸念材料が多いことから、ガイダンスの下方修正は通常以上に精査される」と分析した。

ヒルトンの24年4〜6月期決算は、純利益が前年同期と比べて2%増の4億2100万ドル(約620億円)だった。夏の旅行ラッシュで海外に出かける個人が増え、特にレジャー目的の旅行が全体をけん引した。中東・アフリカ地域では、RevPARが11%増加した。欧州も7%増だった。

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