【ニューデリー=時事】バングラデシュのシャハブッディン大統領は5日夜、反政府デモ激化に伴うハシナ首相の辞任を受けて国民向けに演説し、早期に暫定政権を発足させると発表した。「現議会は解散され、できるだけ早く選挙が行われる」とも述べた。軍を含め、どの勢力が暫定政権を主導するかは明言しなかった。
シャハブッディン氏は演説に先立ち、ザマン陸軍参謀長や主要な野党指導者らと会談。ハシナ氏の政敵で事実上の自宅軟禁下にある野党バングラデシュ民族主義党(BNP)党首、ジア元首相の解放や、身柄を拘束された全てのデモ参加者を釈放することも決めた。
軍は外出禁止令が6日朝に解除され、学校や経済活動が再開されると発表した。
ハシナ氏は隣国インドへ脱出。インド外務省筋によると、首都ニューデリー近郊の空軍基地でモディ首相の側近として知られるドバル国家安全保障担当補佐官と面会した。今後、ロンドンに向かうと報じられている。
5日はデモ参加者数千人が首都ダッカの首相公邸や議場になだれ込み、占拠。ハシナ氏の父で「建国の父」故ラーマン初代大統領の像によじ登るデモ参加者もいた。ザマン氏は演説で「衝突や破壊では何も成し遂げられない」と述べ、デモ隊に暴力や破壊行為をやめるよう訴えた。
AFP通信によれば、デモが激化した7月以降、全土で計360人以上が死亡した。デモ隊の要求は当初、公務員採用における優遇措置の撤廃だった。しかし、デモに参加した多数の学生が治安部隊に殺害されたとして、ハシナ氏や閣僚の辞任を求める声が大きくなった。
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