東京都江戸川区で2003年に起きた強盗殺人事件で、日本側の要請で中国当局が中国籍の男の身柄を現地で確保し、その捜査のため中国の捜査担当者が来日して証拠品などを持ち帰ったことが捜査関係者への取材で分かった。他国の捜査員に証拠品を提供するのは異例という。

 事件は03年12月、同区平井4丁目のマンションの一室で発生。住人でガラス雑貨店経営の鈴木弘子さん(当時70)が殺害され、現金やキャッシュカードが奪われた。

 警視庁は事件の8カ月後、中国・山東省出身の男を逮捕し、男の供述から元日本語学校生で中国籍の斉宇輝(さいうき)容疑者(46)の関与が浮上したが、04年3月に成田空港から中国に出国していた。日中間には容疑者の引き渡しに関する条約がなく、警視庁は国際手配した上で外交ルートで「代理処罰」を中国に要請した。

 斉容疑者は21年7月に中国で拘束され、日本の強盗殺人罪にあたる強盗罪で逮捕、起訴された。斉容疑者は昨年6月にあった第1回公判で起訴内容を否認。物証も乏しいという。捜査関係者によると、中国当局は公判に向けて証拠を積み重ねる必要があると判断し、来日して日本側に捜査への協力を要請したという。

 中国公安当局の担当者は今月22~27日に滞在し、事件現場などを視察。警視庁から、押収された証拠品や捜査資料の貸与を受け、持ち帰ったという。引き渡した証拠品などは斉容疑者の有罪立証に使われるとみられる。(遠藤美波、長妻昭明、藤田大道)

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