【パリ=北松円香】フランスのマクロン大統領は16日、アタル首相率いる内閣の総辞職を受理した。次の首相が指名されるまで限定された範囲で業務を継続する。仏メディアによると、アタル氏の後任指名には数週間かかる可能性がある。
仏大統領府が16日発表した。アタル氏は7日の国民議会(下院)選挙の決選投票の後、慣例に従い8日に辞表を提出したが、マクロン氏がいったん慰留していた。
18日に下院議会の開会が迫るタイミングで総辞職するのは、仏憲法が議員と大臣の兼務を禁じているためだ。アタル氏や閣僚の一部は下院選で当選しており、内閣を継続したままでは議員として投票ができないことになる。
下院選の結果、議席は左派連合の新人民戦線(NFP)と中道の与党連合、極右の国民連合(RN)に三分された。大統領は議会の多数派の意向を踏まえて内政を担当する首相を選ぶ決まりだが、どの党が議会を主導するかはっきりしない現状で首相の選定は難航している。
首相指名に法的期限はない。26日から始まるパリ五輪の期間中に決まらないとの見方もある。アタル内閣は暫定的に業務を続けるが、権限を行使できるのは「当座の案件」に限られる。基本的に法案提出などはできないとされる。
アタル氏は1月上旬に首相就任したばかりで、半年の短命に終わった。就任時に34歳と1958年に始まった仏政治体制「第5共和制」の首相としては最年少だった。マクロン氏に忠実だったが、同氏による下院解散の判断などをめぐり距離が開いているとの指摘もある。
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