【ワシントン=飛田臨太郎】米国のトランプ前大統領が13日、東部ペンシルベニア州で演説中に銃撃とみられる数発の発砲音が鳴った。演台のトランプ氏に向けたとみられる。トランプ氏の広報担当者は、同氏は「無事」で現地施設で検査を受けていると説明している。

発砲音が聞こえたのは演説が開始してから6分が経過したあたりだった。トランプ氏が「我が国で歴史上最悪の大統領が就任し、我が国がどうなったか見て欲しい」と語り、不法移民の増加について触れた時だった。

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トランプ氏は護衛に抱えられるように車に乗り込み、現場から退避した。支持者に向けて手を挙げる姿は見せた。トランプ氏の顔からは血のようなものが見えた。

トランプ氏は事件から数時間後に自身のSNSに「右耳の上部を貫通する銃弾を受けた。何かがおかしいとすぐに分かったのは、ビュンビュンという音と銃声が聞こえ、すぐに銃弾が皮膚を切り裂くのを感じたからだ」と投稿した。

「米大統領警備隊(シークレットサービス)とすべての法執行機関の迅速な対応に感謝したい。殺された集会参加者の家族と、重傷を負ったもう一人の家族に哀悼の意を表したい」と記した。「私たちの国でこのような行為が行われることは信じられない」と加えた。

トランプ氏の広報担当者は「トランプ氏は元気で、地元の医療施設で検査を受けている」と説明した。

要人警護を担う「シークレットサービス」の広報担当者は事件後のトランプ氏について「安全だ」と語った。それ以上の詳細は明かしていない。

バイデン米大統領はトランプ氏の事件について報告を受けた。ペンシルベニア州のシャピロ知事はX(旧ツイッター)への投稿で、州警察が現場で対応していると説明した。

米下院民主党トップのジェフリーズ院内総務はXに「米国は民主主義国家だ。いかなる政治的暴力も決して許されるものではない」と記した。

共和党のジョンソン下院議長は「平和的な選挙集会におけるこの恐ろしい政治的暴力行為は、この国にはふさわしくない。全会一致で断固として非難されるべきだ」と書き込んだ。

米国では政治家を標的としたテロや暗殺が繰り返されてきた。

1963年にケネディ大統領が遊説先のテキサス州ダラスでパレード中に狙撃され死亡した。68年には、弟のロバート・ケネディ上院議員も大統領予備選の遊説中に銃弾に倒れた。

81年にはレーガン大統領がワシントン市内で演説後、ホテルの車寄せで銃撃される暗殺未遂事件が起きた。胸部に銃弾が命中し緊急の摘出手術を受け、一命を取り留めた。

日本では2022年7月に安倍晋三元首相が奈良市内で街頭演説中に銃撃を受け、亡くなった。

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