中国の新疆ウイグル自治区ウルムチ市は5日、漢族と少数民族のウイグル族が衝突して多数の死傷者が出たウルムチ騒乱から15年を迎えた。平穏に見える街中には多数の警察車両が投入され、銃を持った警察官らが突発事件の警戒にあたる光景は日常となっている。

 4日夜、騒乱当時にデモの参加者が集まった市中心部の人民広場では、たくさんの人たちが楽しげに踊りやバドミントンに興じていた。漢族の姿が目立つ。一方で、配置された警察官が市民の動きを見守り、広場の周囲を装甲車が低速で巡回した。

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 2009年7月5日、ウルムチでデモ行進をしていたウイグル族の学生らが治安部隊と衝突し、一部が暴徒化して漢族の商店などを襲撃した。前月に広東省のおもちゃ工場で、漢族がウイグル族を襲った事件への抗議が発端だとされる。当局発表によると、197人が死亡、1700人以上が負傷した。2日後には漢族による抗議行動、ウイグル族への報復が起きたが、この際の死傷者数を当局は公表していない。

 ウルムチ騒乱後、中国政府はウイグル族らへの締め付けを強めてきた。欧米諸国や国際人権団体が中国政府によるウイグル族ら少数民族への人権侵害を非難する一方、中国側は一貫して否定している。

 中国政府は近年、「宗教の中国化」の方針のもと、イスラム教やキリスト教などに対する管理を強化。新疆ウイグル自治区では2月、モスク(イスラム教礼拝所)などの宗教施設を新築・改築する際に、「中国様式」にすることを義務づける改正宗教事務条例が施行された。(ウルムチ=金順姫)

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