首相に就く労働党のスターマー党首=AP

【ロンドン=江渕智弘】英議会下院(定数650議席)の総選挙は4日投開票され、最大野党・労働党が圧勝する見通しになった。与党・保守党から14年ぶりの政権交代となる。5日にも労働党の新政権が発足し、スターマー党首が首相に就く。

英BBCが出口調査に基づく予測を伝えた。

総選挙は2010年から続く保守党政権の審判の場となった。生活費の高騰や公的医療サービスの受診待ちの深刻化などに英国民の不満が噴出した。

保守党政権が主導した20年の欧州連合(EU)からの離脱は輸入コストの増大や東欧の出稼ぎ労働者の減少による人手不足でインフレを助長した。

22年に当時のトラス政権が財源の裏付けのない大規模減税を表明すると、住宅ローン金利が跳ね上がった。多くの人が住宅購入をあきらめた。

新型コロナウイルス対策の行動制限期間にジョンソン元首相がパーティーに参加するなど相次ぐ不祥事も失望につながった。

19年の前回総選挙で大敗した労働党は20年に党首に就いたスターマー氏のもとで党改革を進めた。コービン前党首の急進左派路線を転換し、幅広い有権者を取り込める中道左派政党に回帰させた。保守党に失望した有権者の受け皿となった。

労働党は公的医療や学校教育の充実を掲げる。離脱で傷んだEUとの関係修復を進める。スナク政権が35年に延期したガソリン車とディーゼル車の新車販売禁止の時期を30年に戻す。不法移民をルワンダに強制移送する計画は廃止する。

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