【ロンドン=共同】欧州連合(EU)欧州委員会は4日、中国から輸入される電気自動車(EV)に対し、5日から暫定的に追加関税の適用を始めると発表した。現行の10%に最大37.6%を上乗せする。中国政府から不当な補助金を受けて安値攻勢を仕掛ける中国製EVが「欧州の自動車メーカーに経済的な損害を与える脅威となっている」とみなした。

加盟国による投票を経て4カ月以内に最終決定する。中国政府との対話は続けるが、米中に加えてEUと中国の通商対立も激化する恐れが強まっている。

中国商務省の何亜東報道官は4日の記者会見で追加関税には「強く反対する」と改めて表明した上で「双方が誠意を持って協議を進め、互いに受け入れ可能な解決策を見いだすことを希望する」と語った。中国側はEUから輸入する豚肉に関して不当廉売の調査を開始するなど、報復の動きを見せている。

欧米に日本などを加えた先進7カ国(G7)は中国企業が過剰な生産能力を抱え、EVや太陽光発電設備を不当に安い価格で輸出しているとの懸念を強めている。5月にはバイデン米政権が中国製EVへの制裁関税強化を発表した。

追加関税の徴収はただちに始まらず、EU加盟国による投票などの手続きを経て、今秋までに最終決定した場合に行う。加盟の15カ国以上が反対し、かつそれらの国々の人口がEU総人口の65%以上を占める場合には導入されない。中国で車を販売しているドイツは対中関係の悪化を懸念しており、EU内で結論を導き出すまでには曲折がありそうだ。

追加関税の税率は欧州委の調査に協力する姿勢に応じて異なっている。

欧州委は、昨年10月から中国製EVに対する調査を始めた。今年6月に追加関税を課す方針を発表した。

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