小型機「737MAX」の胴体はスピリット・エアロシステムズが納入している(米西部ワシントン州のボーイング工場)

【ヒューストン=花房良祐】製造品質問題に揺れる航空機大手の米ボーイングは1日、航空部品の米スピリット・エアロシステムズを47億ドル(約8000億円)で買収すると発表した。負債も含めた実質的な買収額は83億ドル。小型機「737MAX」の胴体などを内製化して製造品質の改善を目指す。

株式交換で取得し、2025年半ばの買収完了を見込む。スピリットの23年の売上高は約60億ドル。「737MAX」の胴体だけでなく、中型機「787」などの部品も製造している。

「737MAX」を巡っては24年1月、運航中の機体の胴体に穴が開く事故が発生した。スピリットが納入した胴体の非常口を覆うパネルの留め具に不具合があったため、ボーイングの工場で留め具を交換するために取り外し、そのまま航空会社に納入してしまった。

スピリットはもともとはボーイングの一部だったが、分離して2005年にプライベート・エクイティの投資会社に売却した。ボーイングが利益を重視して生産コストを切り詰めたためだ。ただ、行き過ぎた外注は品質劣化を招いた。

スピリットも効率を重視した結果、品質が劣化してボーイングの受け取った「737MAX」の胴体などで手直し作業が頻発していた。23年にはボーイング出身のパット・シャナハン氏がスピリット最高経営責任者(CEO)に就任し、再建に取り組んでいる。

24年1月の事故後には、ボーイング担当者がスピリットの工場に常駐して検査し、不具合の件数を大幅に減らしたという。抜本解決のため、買収で胴体などを内製化する。

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