28日に行われたイランの大統領選挙では、唯一の改革派の候補で議会の副議長や保健相を務めたペゼシュキアン氏が最も多い1041万票余り、次いで国防や外交を統括する最高安全保障委員会の事務局長を務めた保守強硬派のジャリリ氏が947万票余りを獲得しました。
ただ、いずれの得票も過半数に届かず、7月5日にこの2人による決選投票が行われることになりました。
また、今回の投票率は40%ほどにとどまり、1979年にイスラム体制が樹立されて以降、最も低くなっていて、決選投票では投票率がどうなるかにも関心が集まっています。
一方、338万票余りを得ながらも落選した保守強硬派のイラン議会のガリバフ議長は、声明を発表し、みずからの支持者に対して、決選投票ではジャリリ氏に投票するよう呼びかけています。
決選投票では、いまの強硬な外交政策が継承されるのか、欧米との関係改善に向けて転換が図られるのかが焦点となります。
ペゼシュキアン氏「われわれは立ち上がらなくてはならない」
決選投票に進んだペゼシュキアン氏は29日、地元メディアのインタビューに応じ「われわれは立ち上がらなくてはならない。人々が投票所に行くことで、変化を求める新たな叫びとなることを願っている」と述べ、決選投票に向けてみずからへの支持を改めて呼びかけました。
テヘランの有権者は
決選投票が行われることについて、イランの首都テヘランでは、有権者からさまざまな声が聞かれました。
28日の投票で改革派のペゼシュキアン氏に投票した60歳の男性は「決選投票では何らかのことがないかぎり、より多くの人がペゼシュキアン氏に投票するはずだ」と話し、正当な選挙が行われればペゼシュキアン氏が勝利するはずだと訴えていました。
また、ペゼシュキアン氏に投票した21歳の男性は「もう少し投票率が高ければ1度目の選挙で当選は決まっていたはずだ」と話していて、決選投票では投票率がどうなるかにも関心が集まっています。
一方、保守強硬派のジャリリ氏に投票した63歳の男性は「ジャリリ氏にはアメリカの過度な要求には屈しないでほしい」と話していました。
これに対し、決選投票に進めなかった保守強硬派のガリバフ氏に投票した57歳の男性は、決選投票では、ジャリリ氏に投票するとしたうえで「ジャリリ氏が西側諸国と関係構築を望めば、各国もふいにはしないだろう」と話していました。
投票率は40%ほどにとどまっていて、1979年にイスラム体制が樹立されて以降、最低となりましたが、決選投票にも行かないという声も多く聞かれました。
このうち、50歳の医療従事者の女性は「候補者は事前に絞り込まれていた。私たちの選択とは何ら関係がない」として、大統領選挙の前に行われた、イスラム法学者などで作る「護憲評議会」による資格審査で有力な候補が相次いで失格になったことを批判していました。
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