28日、オンライン会議に出席したロシアのプーチン大統領(モスクワ近郊)=AP

【モスクワ=共同】ロシアのプーチン大統領は28日、核兵器を搭載可能な中・短距離ミサイルの生産を再開し「配備を進めることが必要だ」と述べた。欧州やアジアで同種ミサイルの配備を進める米国への対抗措置。米国との中距離核戦力(INF)廃棄条約の失効後に自制していたが、方針転換した。

条約に縛られない中国は中距離ミサイルの開発を進めており、米中ロの軍拡競争が激化しそうだ。

国防相や外相らが参加したオンラインの安全保障会議で「ロシアの安全を確保するためにミサイルシステムの製造を始め、どこに配備するかを決めなければならない」と語った。ウクライナに武器を供与する米国との対立が深まる中、米欧に圧力をかけた。

射程500〜5500キロのミサイル全廃を定めたINF廃棄条約は米国のトランプ前政権が条約による制限に不満を表明し、2019年2月に破棄を通告。同年8月に失効した。

プーチン氏は「米国が(中・短距離)ミサイルを世界のどこかの地域に配備しない限り、ロシアは19年に生産も配備もしないと宣言していた」と表明。現在は米国が中・短距離ミサイルを「演習で既にデンマークに持ち込んでいる」と述べ「最近はフィリピンにもあることが発表された」と指摘した。

米軍は中国をにらみ、今年4月にフィリピンに中距離ミサイル発射装置を展開させた。

プーチン氏は今月、国家の存立が脅かされた場合に核兵器使用が容認されるとしたロシアの軍事ドクトリンに言及し、核使用の可能性に改めて触れた。一方で、ウクライナでの戦況は核兵器の使用が必要な状況には至っていないとの認識を示していた。

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