パレスチナ自治区ガザで拘束されている人質全員の解放を求めるデモの参加者ら(19日、イスラエル・アシュケロン)=ロイター

【エルサレム=共同】イスラム組織ハマスがパレスチナ自治区ガザで拘束する人質を巡り、イスラエル軍のハガリ報道官は19日、民放「チャンネル13」で「全員を軍事作戦で取り戻すのは不可能。ほかの計画を立てる必要がある」と述べた。

軍がネタニヤフ政権にハマスとの間接交渉を進めるよう迫った形で、イスラエル紙ハーレツは「政権と軍の対立が続いている」と伝えた。

ハガリ氏は「ハマスは思想運動であり、パレスチナ人の心に根付いている。ハマスを壊滅できると考えているならば、誤りだ」とも強調。

「ガザ最南部ラファでハマス大隊の排除に近づいているが、可能なのはハマスをほかの統治機構と置き換えることだ」と語った。

イスラエル首相府は「ハマスの軍事力と統治能力の解体が戦争目的の一つであり、軍にはこれを進める義務がある」と反発する声明を発表した。

軍は5月からラファで地上作戦を続けている。エジプトとの境界沿いを掌握し、ハマスが武器の密輸に使っていた地下トンネルなどを破壊したほか、多数の戦闘員を殺害。「一定程度の目的を達成した」(元情報機関幹部)とされている。

イスラエル軍と親イラン民兵組織ヒズボラは19日も交戦を継続。ヒズボラがロケット弾を発射する一方、軍はヒズボラ拠点を空爆した。

ヒズボラの指導者ナスララ師は19日のテレビ演説で「戦闘が激化すれば、戦闘員がイスラエル北部ガリラヤ地方に侵攻する選択肢もある」とけん制。

イスラエルのガラント国防相は同日、北部の軍基地を訪問し「陸と空で準備を終えつつあり、あらゆるシナリオに対応できる」と強調した。

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