この裁判はアメリカでの人工妊娠中絶に広く使われている経口中絶薬「ミフェプリストン」をめぐり、中絶反対派の医師らが連邦政府などに対し、流通を制限するよう求めていたものです。

これについて連邦最高裁判所は13日、原告の医師らは具体的な被害を受けておらず、訴えを起こす資格がないとして医師らの訴えを退けました。

アメリカでは保守派の判事が多数派を占める連邦最高裁が、2年前に中絶は憲法で認められた権利だとするそれまでの判断を覆し、全米の半数近い州で中絶の規制が強化されています。

今回の判断がさらなる規制につながるものになるのか、注目が集まりましたが、現状が維持されることになりました。

ただ、判断は中絶薬の是非そのものには踏み込んでおらず、アメリカのメディアは今後またこの薬をめぐる新たな訴えが起こされる可能性があると指摘しています。

中絶をめぐってアメリカでは、与党・民主党を支持するリベラル層を中心とした容認派と野党・共和党の支持基盤である保守層に根強い反対派の意見が大きく対立していて、秋の大統領選挙でも争点のひとつとなっています。

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