ニューヨーク証券取引所=AP

【NQNニューヨーク=稲場三奈】12日の米株式市場でダウ工業株30種平均は反発して始まり、午前9時35分現在は前日比275ドル51セント高の3万9022ドル93セントで推移している。朝発表の5月の米消費者物価指数(CPI)は上昇率がおおむね市場予想を下回った。インフレが再加速し、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ転換まで時間がかかるとの警戒が後退。主力株に買いが入り、ダウ平均の上げ幅は300ドルを超える場面がある。

5月のCPIは前月比の上昇率が横ばいと、ダウ・ジョーンズ通信がまとめた市場予想(0.1%)を下回った。エネルギーと食品を除くコア指数は前月比0.2%上昇と市場予想(0.3%上昇)に届かなかった。コア指数は前年同月比の伸び率が3.4%と、市場予想(3.5%)を下回り、前月(3.6%)から鈍化した。

市場では、「FRBが市場の想定よりも(金融緩和に積極的な)ハト派の姿勢を示す可能性が意識された」(SIAウェルス・マネジメントのコリン・チェシンスキ氏)との受け止めがあった。米債券市場では長期金利が大幅に低下(債券価格は上昇)。一時は前日比0.13%低い4.27%を付けた。金利の低下で相対的な割高感が薄れたとして、ハイテク株を中心に買いが入っている。

午後には米連邦公開市場委員会(FOMC)の結果発表がある。パウエルFRB議長の記者会見で内容を見極めたいとの姿勢もみられる。

個別では、ホーム・デポやゴールドマン・サックス、キャタピラーといった景気敏感株や消費関連株の一角が上昇している。アップルやマイクロソフトも高い。一方、メルクやトラベラーズ、コカ・コーラは売られている。

ハイテク株比率の高いナスダック総合株価指数は3日続伸して始まり、前日に付けた最高値(1万7343)を上回っている。多くの機関投資家が運用指標とするS&P500種株価指数も3日続伸し、前日に付けた最高値(5375)を上回り、取引時間中としては初めての5400台で推移している。

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