抗議デモはアラブ系アメリカ人の団体が呼びかけたもので8日、全米各地から数千人が集まり、ホワイトハウス前の広場を埋め尽くしました。

参加者たちは「虐殺をやめろ」とか「イスラエルへの軍事支援をすべて止めろ」などと書かれたプラカードを掲げて即時停戦を求めるとともに、イスラエルへの軍事支援を続けるバイデン政権の対応を厳しく非難しました。

デモに参加した男性は「血塗られた戦闘が終わり、子どもの犠牲がなくなることを望んでいる。バイデン大統領には停戦に向けて動いてほしい。私たちはイスラエルを支援すべきではない」と話していました。

また、参加した女性は、8日も多数のガザ地区の住民が犠牲になったことについて「どれだけ悲惨かことばでは言い表すことができない。戦闘が始まった8か月前にすでに越えてはいけない一線を越えてしまっていた」と話していました。

アメリカ国内では、イスラエルを支持する声も根強い一方、ガザ地区の住民の犠牲が増えるにつれ、イスラエルへの軍事支援を継続しているバイデン政権への反発も強まり、秋の大統領選挙にも影響を与える可能性が指摘されています。

イスラエル軍 人質4人救出 ハマス側“多くの住民死亡”と反発

イスラエル軍は8日午前、ガザ地区中部のヌセイラトで作戦を実施し、人質4人を救出したと発表しました。

イスラエル政府は、救出された人たちが家族と再会し、喜びあう姿を写した映像や写真を公開し、成果を強調していて、ネタニヤフ首相も声明で「イスラエルがテロに屈しないことを証明した。人質全員を取り戻すまで手を緩めることはない」と述べハマスへの攻勢を強める構えを示しています。

一方、パレスチナの地元メディアなどはイスラエル軍が救出作戦を行ったとする時間帯に、ヌセイラトなど中部で激しい攻撃が行われたと報じ、多数のけが人が病院に運び込まれている様子などを伝えています。

ガザ地区の病院の担当者は、この攻撃で少なくとも55人が死亡したと発表したほか、ハマスによる地元当局は210人という多くの住民が死亡したと主張しています。

地元当局は「イスラエル軍は野蛮で残忍な攻撃を行い、民間人を直接標的にした」などとする声明を出し、反発を強めていて、停戦や人質の解放に向けた交渉にも影響を与える可能性があります。

米 バイデン大統領「停戦成立まで努力を止めない」

アメリカのバイデン大統領は人質の解放を歓迎しつつ「人質全員が帰還し、停戦が成立するまで、私たちは努力を止めない」と述べ、停戦の合意に向けて外交努力を続ける考えを示しました。

仏 マクロン大統領“人質解放歓迎も人道状況は受け入れられず”

フランスのマクロン大統領は、バイデン大統領との首脳会談のあとの記者発表で「イスラエル軍が4人の人質を解放したことを歓迎する」と述べました。

一方で「私たちは、即時停戦が実現し、政治的解決への展望が開かれることを望む。ラファの人道状況は受け入れられず、イスラエルが人道物資の搬入の経路を完全に開かないことも容認しがたい」として、イスラエル側に苦言も呈しました。

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