WMOは5日、各国の気象当局などのデータを基に、2024年から2028年までの5年間の世界の気候の現状と将来の予測に関する分析結果を公表しました。
それによりますと、世界の1年間の平均気温は、産業革命前と比べ1.1度から1.9度高くなると予想しています。
そして、このうち少なくとも1年は、
▽80%の確率で、産業革命前と比べ1.5度以上高くなるほか、
▽86%の確率で、観測史上最も高かった2023年を上回ると分析しています。
各国は、2015年に採択されたパリ協定に基づいて、世界の平均気温の上昇を産業革命前に比べて1.5度に抑えるよう努力することを目標に掲げています。
WMOは、年間の平均気温が1.5度を超えるのは一時的なものだとしていますが、5年間で1回でも超える確率は毎年上がり続けているということです。
WMOのバレット副事務局長は「こうした統計の背後には、パリ協定の目標を達成する道筋から大きく外れている現実がある」として警鐘を鳴らしています。
国連 グテーレス事務総長「クリーンエネルギー活用すべき」
WMO=世界気象機関の分析結果について、国連のグテーレス事務総長は5日の演説で「世界の平均気温の上昇を1.5度に抑えるとした『パリ協定』の目標は危機に直面している。『気候地獄』に向かう高速道路から降りる出口を見つけなければならない」と述べ、強い危機感を示しました。
そして、私たち一人ひとりが気温上昇の原因となっている化石燃料の使用を段階的に減らして、クリーンエネルギーを活用すべきだと改めて訴えました。
また多くの国が、人間の健康に害を及ぼす、製品の広告を禁止したり制限したりしていることを引き合いに出し「すべての国に対し、化石燃料を扱う企業の広告を禁止するよう求める」と述べるなど、気温上昇を抑えるためにより踏み込んだ対策をとるよう国際社会に求めました。
そして最後に「どの国も単独で『気候危機』を解決することはできない」と述べ、各国が協力して取り組むよう呼びかけました。
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