アジア安全保障会議(シャングリラ・ダイアローグ)が31日、シンガポールで開幕した。フィリピンのマルコス大統領は基調講演で「南シナ海の安定が武力や威嚇、根拠のない主張によって損なわれている」と述べ、覇権的な動きを強める中国を念頭に、「法の支配」の尊重を訴えた。

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 南シナ海で中国と領有権を争うフィリピンは、昨年以降、自国の船が中国船から放水などの妨害行為を繰り返し受け、米国や日本との安全保障協力を強めている。

 マルコス氏は、米国の存在が「アジア太平洋地域の平和にとって、極めて重要だ」とし、4月に初めて開催した日米比の3カ国首脳会談にも言及。「地政学的な問題は複雑さを増している。多国間で協力して解決を」と呼びかけた。

 南シナ海のほか、尖閣諸島のある東シナ海、米中の緊張が高まる台湾海峡にも言及し、「主権や権利は国連海洋法条約をはじめとした国際法に基づかなければならない」と指摘した。

 南シナ海のほぼ全域の管轄権をもつとする中国の主張に対し、オランダ・ハーグの常設仲裁裁判所は2016年、「法的根拠がない」と否定する判決を出したが、中国は受け入れていない。

 マルコス氏はその上で、「自国の主権領域を最後の1平方ミリメートルまで守るため、必要なことは何でもする」と中国に譲歩しない姿勢を改めて示した。(シンガポール=大部俊哉)

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