アメリカのオースティン国防長官と中国の董軍国防相は、アジアや欧米の防衛担当の閣僚らが安全保障の課題について話し合う「アジア安全保障会議」に合わせて、31日午後、シンガポールで、1時間余りにわたって会談しました。

米中の国防相が対面で会談したのはおよそ1年半ぶりで、米中両政府の発表によりますと、両国は、国防当局間の対話を継続することで一致しました。

ただ、アメリカ側の発表によりますと、オースティン長官は、中国軍が先週、台湾や台湾の離島の周辺で軍事演習を行ったことを念頭に、中国軍の最近の挑発的な行動に懸念を示すとともに「台湾の新政権発足を威圧的行動の口実にすべきではない」と強調し、直接、懸念を伝えたとしています。

そのうえで、オースティン長官は台湾海峡の平和と安定の重要性を強調したとしています。

さらに、南シナ海をめぐっては「国際法のもとで保証された公海の航行の自由を尊重することの重要性を強調した」としています。

一方、中国側の発表によりますと、董国防相は台湾をめぐり「中国の内政問題であり、外部勢力に干渉する権利はない」と述べ、アメリカに対し、台湾をめぐる問題に干渉しないよう求めたとしています。

また、アメリカ軍とフィリピン軍が南シナ海の近くで合同軍事演習を行った際、アメリカ側が中距離ミサイルシステムを配備したと主張したうえで「中国はこれに断固反対する」としています。

このように、会談では台湾や南シナ海をめぐっては議論は平行線だったとみられ、両国の対立は埋まりませんでした。

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